ティーツリー精油の効果・効能と使い方|100年前の実験で消毒薬の11倍を記録した精油

ティーツリー精油の効果・効能と使い方|100年前の実験で消毒薬の11倍を記録した精油

ティーツリーは、アロマの棚でいちばん見かける精油のひとつです。ドラッグストアにも、雑貨屋にも、たいてい置いてあります。

そして、この精油には必ずと言っていいほど、ある物語がついてきます。「第二次世界大戦のとき、オーストラリア兵の救急箱に入っていた」「あまりに重要だったので、伐採する人たちは兵役を免除された」——検索すれば、日本語でも英語でも、同じ話が何十件も出てきます。

この記事では、その話をいったん外すところから始めます。

理由は単純で、裏が取れなかったからです。そのかわり、同じ資料の中に、もっと具体的で、もっと確かな記録がありました。1925年、オーストラリアの化学者が、当時の消毒薬の王様と正面から比較した実験の数字です。

sato question佐藤美咲
え、あの有名な話って、本当じゃないんですか?

kurihara analyze v2栗原奈緒
「本当じゃない」とまでは言えません。正確には、裏付ける記録が見つからなかった、と専門家が報告している、ということです。この違いは大事なので、あとで詳しくお話ししますね。

この記事では、ティーツリーについて「言い伝え」と「記録に残っている事実」を分けて整理します。そのうえで、成分の国際規格、選び方、使い方、そして見落とされがちな注意点までをまとめました。

目次

ティーツリーは「お茶の木」ではない──名前の由来と植物としての正体

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学名 Melaleuca alternifolia — オーストラリアの限られた土地の木

ティーツリーの正体は、フトモモ科のメラレウカ属に分類される樹木です。学名を Melaleuca alternifolia(メラレウカ・アルテルニフォリア)といいます。

原産はオーストラリア。それも大陸全土ではなく、東海岸のごく限られた地域に自生する植物です。細長い葉をつけ、白いブラシのような花を咲かせます。精油はこの葉から水蒸気蒸留で採られます。

精油のボトルに「メラルーカ」と書かれていることがありますが、これは属名のメラレウカ(Melaleuca)から来ています。ティーツリーとメラルーカは同じものだと考えて差し支えありません。

daigo explain渡邊大悟
日本語のカタカナ表記が「メラレウカ」「メラルーカ」と揺れているだけで、指しているのは同じ木です。

なぜ「お茶の木」と呼ばれるのか

名前に「ティー(tea)」と入っていますが、紅茶や緑茶の木(チャノキ)とはまったく別の植物です。分類上の近縁関係もありません。

では、なぜお茶の名前がついたのか。一般に語られているのは、オーストラリアに渡ってきたヨーロッパ人が、この木の葉を湯に浸して茶のような飲み物にしたから、という説明です。

ただ、この由来の話も、出どころをたどると一次資料にたどり着きにくい類の話です。この記事の後半で扱う「戦争の逸話」と同じ構造をしています。名前の由来なので実害はありませんが、「よく言われている」と「記録がある」は別物だ、という感覚は持っておいて損はありません。

混同されやすい、別の「ティーツリー」

やっかいなことに、「ティーツリー」と名前のつく精油はひとつではありません。

  • レモンティーツリーLeptospermum petersonii
  • マヌカLeptospermum scoparium
  • カヌカKunzea ericoides

これらは名前も見た目も近く、店頭で隣に並んでいることもありますが、属が違い、成分の構成もまったく別です。「ティーツリーを買ったつもりが、成分が全然違うものだった」ということが起こり得ます。

sato troubled佐藤美咲
たしかに、棚に似たような名前がいくつも並んでいて、どれを選べばいいのか分からなくなります……

akiyama explain秋山葵
見分ける方法はあります。学名を見ることです。Melaleuca alternifolia と書かれていなければ、それは別の植物の精油です。この記事の後半で、学名以外にどこを見ればいいかもお伝えしますね。

100年前の実験──石炭酸(フェノール)と比べて11倍という記録

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ここからが、この精油の「記録に残っている」話です。

Rideal-Walker係数──当時の消毒薬をはかる物差し

時代は1920年代。抗生物質はまだ実用化されておらず、消毒の主役は石炭酸(フェノール)でした。手術室でも病院でも、フェノールが基準の消毒薬として使われていた時代です。

当時、新しい物質の抗菌力を評価するとき、ものさしになったのが Rideal-Walker係数(RW係数) でした。考え方はシンプルで、フェノールを1として、その何倍の抗菌力があるかを表す数字です。RW係数が2なら、フェノールの2倍。10なら10倍、ということになります。

kurihara explain v2栗原奈緒
今の目で見れば古典的な試験法ですが、当時としては「共通の物差し」があったこと自体が重要でした。数字で比較できるようになったわけですから。

ティーツリー精油の RW係数は「11」

オーストラリアの化学者 Arthur R. Penfold は、1920年代から1930年代にかけて、オーストラリア産植物の精油を次々と調べ、一連の論文を発表しました。彼はティーツリー精油の抗菌活性について最初期の報告を残した人物です。

そして、ティーツリー精油について報告された RW係数が 11 でした。

つまり、当時の消毒薬の基準物質に対して、11という数字が記録されたということです。1925年のことです。

daigo smile渡邊大悟
100年前に、当時の消毒薬の王様と真正面から比較して、その数字が論文に残っている。この事実のほうが、あとから足された物語よりよほど面白いと思いませんか。

成分ごとに数字が違う

さらに興味深いのは、精油全体だけでなく、成分ひとつひとつについても数字が出ていることです。

成分RW係数(フェノール=1)
テルピネオール16
テルピネン-4-オール13.3
リナロール13
ティーツリー精油(全体)11
シメン8
1,8-シネオール3.5

この表は、あとの話につながる伏線になります。注目してほしいのはいちばん下の 1,8-シネオールです。この成分だけ、数字が明らかに低い。

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sato question佐藤美咲
シネオールって、ユーカリの精油でよく聞く成分ですよね。ここでは数字が低いんですね。

kurihara analyze v2栗原奈緒
そうなんです。そしてこの「低さ」が、のちにティーツリーの国際規格の形を決めることになります。しかも、その決まり方には、ちょっと引っかかる話が残っているんです。

⚠️ ここで挙げた数字は、1925年当時の試験法で報告された記録です。現代の抗菌試験の指標とは方法も条件も異なります。「フェノールの11倍だから何かに効く」という読み方はできません。あくまで、この精油が100年前から関心を持たれてきた理由を示す歴史的なデータとして受け取ってください。

「第二次大戦の救急箱」の話は、実は裏が取れていない

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さて、冒頭で保留にしていた話に戻ります。

広く語られている、2つの逸話

ティーツリーを紹介する記事には、ほぼ必ずと言っていいほど、次の2つの話が出てきます。

1. 第二次世界大戦中、オーストラリア軍の兵士に支給される救急箱に、ティーツリー精油が入っていた

2. 精油が軍需物資として重要だったため、原料を伐採する人たち(bush cutters)は兵役を免除された

物語としてよくできています。「戦場で使われた」「国が兵役を免除するほど重要だった」——どちらも、その精油の価値を一瞬で伝えてくれる話です。だからこそ、これだけ広まったのだと思います。

専門家は「legend(伝説)」と書いている

ティーツリー研究の分野で、最もよく引用される総説のひとつに、次の論文があります。

Carson CF, Hammer KA, Riley TV.

Melaleuca alternifolia (Tea Tree) Oil: a Review of Antimicrobial and Other Medicinal Properties.”

Clinical Microbiology Reviews. 2006;19(1):50-62.

この論文の中で、著者らは先ほどの2つの逸話にはっきり触れています。原文はこうです。

Legend has it that the oil was considered so important for its medicinal uses that Australian soldiers were supplied oil as part of their military kits during World War II and that bush cutters were exempt from national service. However, no evidence to corroborate these accounts could be found.”

書かれているのは、次の2点です。

  • この話は legend(言い伝え・伝説) として紹介されている
  • そして、これらの記述を裏付ける証拠は見つけられなかった

著者はオーストラリア戦争記念館に照会している

さらに、この一文には出典が添えられています。オーストラリア戦争記念館(Australian War Memorial, Canberra)の担当者との私信(personal communication)です。

つまり著者らは、ネット上の孫引きを眺めて「怪しい」と言ったのではなく、戦争の記録を保管している当の機関に問い合わせたうえで、「裏付けは見つからなかった」と書いているわけです。

sato question佐藤美咲
わざわざ問い合わせたんですね……。

kurihara analyze v2栗原奈緒
研究者としては当然の手順ですが、その手順を踏んだ人がほとんどいなかった、というのがこの話の本質だと思います。

なぜ、この話は広まり続けているのか

理由は、おそらく2つあります。

ひとつは、話として強いこと。戦争、軍、兵役免除——検証しづらく、それでいて説得力のあるキーワードが揃っています。

もうひとつは、引用の連鎖です。誰かが書いた記事を次の人が参照し、その記事をまた次の人が参照する。この連鎖が何十回も繰り返されると、出どころが分からなくなったころには「みんなが書いている=事実」に見えてきます。実際、この逸話を載せている記事の大半は、精油を販売しているサイトやアロマ系のメディアです。

sato convinced佐藤美咲
なるほど。「みんなが書いている」は、根拠になっていないんですね。

daigo idea渡邊大悟
そして皮肉なことに、この逸話を外しても、ティーツリーの価値はまったく減りません。1925年の実験データは実在しますし、このあとお話しする国際規格の話も、全部そちらのほうが具体的です。

誤解のないように

念のため、正確に書いておきます。

  • 「軍で使われていなかったことが証明された」わけではありません
  • 正しくは、それを裏付ける記録が見つからなかった、と報告されているという状態です

歴史の記録は、残っていないだけということもあります。ですから「嘘だ」と断じるのも同じくらい雑な態度です。この記事でお伝えしたいのは、「よく言われている話」と「記録が確認できる話」を、自分の中で分けておくという姿勢のほうです。

そしてこの姿勢は、精油を選ぶときにもそのまま使えます。次の章は、まさにその話です。

ティーツリーを名乗れる条件──ISO 4730が決めている2つの数字

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「よく言われている話」と「記録が確認できる話」を分ける。その姿勢で精油の棚を見ると、見るべき場所が変わります。

ティーツリー精油には国際規格がある

意外に知られていませんが、ティーツリー精油には国際標準化機構(ISO)の規格が存在します。

ISO 4730:2017

Essential oil of Melaleuca, terpinen-4-ol type (Tea Tree oil)

規格名の中に「terpinen-4-ol type(テルピネン-4-オール タイプ)」と入っているところがポイントです。ティーツリー精油とは、テルピネン-4-オールを主成分とするタイプのメラレウカ精油である、と定義されているわけです。

同じ木から採れても、育つ土地や個体によって成分の比率は変わります。だから「メラレウカの精油」というだけでは中身が保証されない。そこで成分の数字で線を引いた、というのがこの規格の意味です。

kurihara explain v2栗原奈緒
植物名ではなく、成分の構成で定義している。これは精油を扱ううえで、とても実務的な決め方だと思います。

決められているのは、下限と上限

規格が定めている数字のうち、押さえておきたいのは次の2つです。

成分ISO 4730 の規定意味
テルピネン-4-オール30%以上下限。少なすぎるものはティーツリーと呼べない
1,8-シネオール15%以下上限。多すぎるものはティーツリーと呼べない

つまり、片方には「これ以上入っていること」、もう片方には「これ以下であること」という、逆向きの線が引かれています。

なお、ティーツリー精油の成分は、テルピネン-4-オール、1,8-シネオール、α-テルピネオール、テルピノレン、α-テルピネン、γ-テルピネンといった主要な成分で全体の約9割を占めるとされています。ロットによってはテルピネン-4-オールが48%に達するものもあります。

さらに、オーストラリアの業界団体である ATTIA(Australian Tea Tree Industry Association) の認定基準は、ISOよりも厳しく、テルピネン-4-オール 35%以上を求めています。

sato troubled佐藤美咲
数字が出てくると急に難しく感じます……。結局、買うときは何を見ればいいんでしょう?

akiyama explain秋山葵
見るのは3か所だけで大丈夫です。①学名Melaleuca alternifolia か)②成分分析表があるか(ロットごとの数値を公開しているか)③ISO 4730 準拠と書かれているか。この3つが揃っていれば、まず外しません。

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同じ名前の精油でも中身が違い得る、という話は、[ティーツリーに限った話ではありません](https://schoogate.co.jp/totonoe/self-care/3723/)。同じ精油名でも産地やロットで成分が変わるという点は、[目もとまわりのケアで精油を選ぶとき](https://schoogate.co.jp/totonoe/self-care/3776/)にも同じように問題になります。

1,8-シネオールの上限は、実は「誤解」から生まれた可能性がある

ここで、先ほどの表の伏線を回収します。

なぜ 1,8-シネオールにだけ上限が設けられたのでしょうか。

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先ほどの Clinical Microbiology Reviews のレビューは、この点についても踏み込んで書いています。要旨はこうです。

  • 1,8-シネオールは、かつて皮膚や粘膜を刺激する成分だと考えられていた
  • しかし、レビューはそれを “erroneously”(誤って) 考えられていた、と表現している
  • その根拠は anecdotal(逸話的) なものであり、科学的データに基づくものではなかった

つまり、「シネオールは刺激物だ」という当時の理解のもとに上限が設けられ、その理解自体が後から疑問視されている、という構図です。

sato question佐藤美咲
規格の数字も、決まった当時の理解を反映しているんですね。

kurihara analyze v2栗原奈緒
そうなんです。規格は「絶対の真理」ではなく、その時点での合意です。とはいえ——

誤解しないでいただきたいのは、だから上限を無視していい、という話ではないということです。

現在流通しているティーツリー精油は、この規格を前提に品質管理されています。市場の共通言語として機能している以上、選ぶ側もそれを基準にするのが合理的です。

ここでお伝えしたいのは、もっと手前のことです。「戦争の逸話」も「シネオール=刺激物」も、どちらも同じ構造をしている、ということ。逸話的な情報が繰り返され、いつのまにか前提になっていく。そういうことが、精油の世界には少なからずあります。

ティーツリー精油の使い方──希釈の目安と場面別の手順

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ここからは実践編です。

大前提:原液を直接肌につけない

まず、これだけは押さえてください。ティーツリー精油を原液のまま肌に塗る使い方はしません。

「ティーツリーは原液でも大丈夫」という説明を見かけることがありますが、レビューには刺激性皮膚炎の報告が記載されています。肌の状態や体質には個人差がありますし、その日の肌のコンディションでも変わります。希釈して使うのが基本です。

希釈にはキャリアオイル(植物油)を使います。ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなどが一般的です。

使う場面希釈の目安ひとこと
顔まわり0.5〜1%いちばん低く。まずは0.5%から
体(腕・脚など)1〜2%一般的なセルフケアの範囲
部分的に使う場合2〜3%広い面積には使わない
芳香浴(拡散)希釈不要換気しながら短時間で

※1%=キャリアオイル10mLに対して精油2滴が目安です。

akiyama explain秋山葵
はじめて使う精油は、必ず腕の内側などで少量から試してください。 数時間おいて赤みやかゆみが出ないことを確認してから、通常の使い方に進みます。

場面①:手元・指先まわりのケア

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水仕事のあとや、外出から戻ったあとの手元のケアに使われることの多い精油です。

キャリアオイルで1%程度に希釈したものを、手のひらに少量とって、指先や爪のまわりになじませます。清潔な状態の肌に使ってください。

香りははっきりしたシャープな系統なので、人と会う直前は量を控えめにしたほうが無難です。

場面②:足元・靴まわり

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蒸れやすい季節に選ばれることが多い使い方です。

  • 足元のケア:1〜2%に希釈して、入浴後の清潔な足になじませる
  • 靴のケア:コットンに1〜2滴たらして靴に入れておく(履く前に取り出す)

素材によっては精油がシミになることがあります。革靴やデリケートな素材には直接触れさせないでください。

場面③:室内の芳香浴

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ディフューザーで拡散させる使い方です。清涼感のある香りで、空間の印象を切り替えたいときに向いています。

  • 使用は30〜60分程度を目安に、換気しながら
  • 締め切った狭い空間で長時間たき続けない
  • 同室に乳幼児・妊娠中の方・高齢の方・ペットがいる場合は使用を控えるか、必ず別室に

akiyama blending v2秋山葵
ブレンドなら、ラベンダーと合わせると角がとれてやわらぎます。レモンベルガモットなどの柑橘系と合わせると、シャープさが軽やかな方向に振れます。

sato motivated佐藤美咲
まずは1種類ずつ試して、自分がその香りをどう感じるかを確かめるところからで十分です。

使う前に知っておきたい注意点

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ティーツリーは「安全な万能オイル」というイメージで語られがちです。ですが、先ほどのレビューには、注意すべき点もきちんと記載されています。ここは省略せずにお伝えします。

古くなった精油に注意する

レビューで指摘されているうち、実生活でいちばん起こりやすいのがこれです。

アレルギー性接触皮膚炎の症例報告があり、その主な原因は、酸化した古い精油に含まれる酸化生成物だとされています。つまり、精油そのものよりも、時間が経って変質したもののほうがリスクが高いということです。

対策はシンプルです。

  • 開封後は早めに使い切る(少量サイズを選ぶ)
  • 直射日光・高温を避け、遮光ボトルのまま保管する
  • キャップをしっかり閉める(空気に触れる時間を減らす)
  • 香りが購入時と明らかに変わったもの、粘りが出たものは使わない

daigo explain渡邊大悟
「もったいないから」と何年も使い続けるのが、いちばん避けたい使い方です。

飲まない

精油を飲む使い方は、この記事では扱いません。

レビューには経口摂取による中毒の症例報告が記載されています(報告された症例はいずれも支持療法で回復しています)。動物実験でも経口毒性のデータが示されています。

自己判断で飲用しないでください。

猫のいる家庭では使わない

見落とされやすいのがこれです。

レビューには、猫において、精油の経皮適用で全身症状が生じた動物毒性の報告が記載されています。猫は精油成分の代謝経路がヒトと異なることが知られており、ティーツリーに限らず精油全般が猫にとってリスクになり得ます

  • 猫のいる部屋でディフューザーを使わない
  • 猫の体やベッド、通り道に精油を使わない
  • 精油を使った手で猫を触らない

sato troubled佐藤美咲
うちは猫がいるので、これは知らなかったら危ないところでした……。

kurihara analyze v2栗原奈緒
ペットのいるご家庭では、まず獣医師に相談するのがいちばん確実です。犬と猫でも事情が違います。

相談してから使ってほしい方

次に当てはまる場合は、自己判断で使わず、医師・薬剤師にご相談ください

  • 妊娠中・授乳中の方([産後・授乳期のアロマについてはこちらで詳しく扱っています](https://schoogate.co.jp/totonoe/self-care/3895/))
  • 乳幼児・お子さま
  • 治療中の疾患がある方、服薬中の方
  • アレルギー体質の方、皮膚トラブルが起きやすい方

そして大前提として、精油は医薬品ではありません。この記事で紹介した1925年のデータも、ISO規格の成分値も、病気の治療や予防を裏づけるものではありません。気になる症状があるときは、まず医療機関を受診してください。

doTERRA ティーツリー(メラルーカ)

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ティーツリーは、doTERRA では 「メラルーカ」 の名称で扱われています。属名の Melaleuca に由来する呼び方で、植物としては本記事で扱ってきた Melaleuca alternifolia と同じものです。

この記事でお伝えしてきた選び方の基準——学名が明示されていること成分の分析データが公開されていること——は、どのブランドの精油を選ぶ場合でも共通して使える物差しです。ブランド名ではなく、その物差しを自分で持っておくことのほうが、長い目で見ればずっと役に立ちます。

ティーツリーは、単体でもブレンドでも使いやすく、最初の1本として選ばれることの多い精油です。手元に置くなら、開封後に使い切れるサイズから始めるのが、先ほどの酸化の話とも整合します。

まとめ

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ティーツリーについて、この記事で整理したことを振り返ります。

言い伝えとして語られてきたこと

  • 第二次大戦中、豪州兵の救急箱に支給されていた
  • 原料の伐採者は兵役を免除されていた
  • → いずれも査読付きのレビューで legend と紹介され、裏付ける記録は見つからなかったと報告されています。オーストラリア戦争記念館への照会を経たうえでの記述です。

記録として残っていること

  • 1925年、Penfold が当時の消毒薬の基準物質フェノールと比較し、RW係数 11 を報告した
  • 成分別では テルピネン-4-オール 13.3 に対し、1,8-シネオール 3.5
  • ISO 4730:2017 が、テルピネン-4-オール 30%以上 / 1,8-シネオール 15%以下 と規定している
  • ATTIA認定はさらに厳しく、テルピネン-4-オール 35%以上
  • 1,8-シネオールの上限は、皮膚刺激物質だという「誤った」理解のもとで設けられた可能性が指摘されている

選ぶとき・使うときに見るところ

1. 学名が Melaleuca alternifolia か(別の「ティーツリー」が複数ある)

2. 成分分析表が公開されているか / ISO 4730 準拠か

3. 原液で使わない。キャリアオイルで希釈する

4. 古い精油を使わない(アレルギーの主因は酸化生成物)

5. 飲まない

6. 猫のいる家庭では使わない

daigo smile渡邊大悟
この精油の面白さは、「戦争で使われた」という物語のほうにはありません。100年前の実験ノートに数字が残っていること、そしてその数字が今も国際規格の形で生きていること。そちらのほうが、ずっと確かで、ずっと面白いと思います。

sato convinced佐藤美咲
「よく言われている話」と「記録がある話」を分ける。精油を選ぶときにも、そのまま使える見方ですね。


精油選びで迷わなくなる「えらびガイド」を差し上げています

この記事では、ティーツリーを例に学名・成分分析表・ISO規格という3つの物差しをお伝えしました。

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参考文献

1. Carson CF, Hammer KA, Riley TV. Melaleuca alternifolia (Tea Tree) Oil: a Review of Antimicrobial and Other Medicinal Properties. Clin Microbiol Rev. 2006;19(1):50-62. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1360273/

2. ISO 4730:2017 Essential oil of Melaleuca, terpinen-4-ol type (Tea Tree oil). International Organization for Standardization. https://www.iso.org/standard/69082.html

※本記事は精油に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社スクーゲート代表取締役。京都在住。
「不調の答えは、栄養素にある。」をコンセプトに、独自の「TOTONOE式 7大栄養メソッド」を開発。フランス式メディカルアロマ × 栄養学 × 生活リズムの3軸で、暮らしを根本から整えるセルフケアを研究・発信中。
個人の健康サポートに加え、AIを活用した事業コンサルタントとしても活動。「個人の健康意識が高まれば、会社の業績も変わる」という信念のもと、個人と法人の両面から"健康経営"を支援している。

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