「100%天然」と表示された精油なら安心——そう思い込んでいませんか?
実は、精油市場には品質に大きなバラつきがあり、ラベルの表示だけでは本物かどうかを判断できない現実があります。
この記事では、doTERRAが独自に設けているCPTG(Certified Pure Tested Grade)品質基準の全貌を、8つの検査プロセスとともに科学的に解説します。
精油の品質を正しく見極め、安心して日々の暮らしに取り入れるための知識を、ここでしっかりと身につけてください。
佐藤美咲


なぜ精油に品質基準が必要なのか?
市場の精油に不純物が含まれている現実
精油は植物から抽出される天然の揮発性芳香物質です。しかし、その市場は規制が十分とは言えない状態にあります。
世界の精油市場では、以下のような品質問題が報告されています。
- 合成成分の添加:天然の精油に人工的な芳香成分を混ぜてコストを下げる
- 異なる植物種での代用:安価な植物種を使いながら高級品として販売する
- 溶剤の残留:抽出過程で使用された化学溶剤が最終製品に残る
- 農薬や重金属の残留:栽培地の土壌汚染が精油に移行する








「100%天然」表示の落とし穴
日本では、精油は「雑貨」に分類されています。つまり、精油の品質に関する法的な規制や統一基準が存在しないのが現状です。
「100%天然」「ピュア」「オーガニック」といった表示は、実は第三者が検証した証明ではありません。メーカーが自主的にラベルに記載しているだけのケースがほとんどです。
ISO(国際標準化機構)は精油の化学プロファイルや純度に関する国際基準を設けていますが、「Therapeutic Grade(セラピー品質)」を認定する公的機関は世界にも存在しません。
この事実を知っているかどうかで、精油選びの視点は大きく変わります。





合成香料と本物の精油を見分けることは可能か?
結論から言えば、人間の五感だけで完全に見分けることは困難です。
現代の合成技術は非常に高度化しており、天然精油の主成分だけを人工的に再現した「ネイチャーアイデンティカル(天然同一)」と呼ばれる合成品が存在します。これは香りだけでは判別が難しいレベルです。
だからこそ、科学的な分析機器による客観的な検査が不可欠なのです。
たとえば、ラベンダー精油の主成分であるリナロールは合成で安価に製造できます。天然のラベンダー精油にこの合成リナロールを混ぜた場合、香りのテストだけでは違いを見抜けないことがあります。しかし、後述するキラリティ分析やIRMS検査を行えば、合成成分の存在は明確に検出されます。
つまり、「良い香り」と「高品質」は必ずしもイコールではないのです。



CPTG(Certified Pure Tested Grade)とは何か?
doTERRA独自の品質基準 — ISO規格との違い
CPTG(Certified Pure Tested Grade)は、doTERRAが独自に策定し商標登録した品質基準です。
ここで正直にお伝えしておくべき重要な事実があります。
CPTGは第三者認証機関による認証ではなく、doTERRAの自社基準です。


では、なぜ自社基準であるCPTGが業界内外で信頼されているのでしょうか?
ISO規格との比較:
| 項目 | ISO規格 | CPTG(doTERRA) |
|---|---|---|
| 検査手法 | GC/MSを中心とした標準分析 | 8つの検査手法を組み合わせた多層分析 |
| 検査回数 | 基準なし(各メーカー任意) | 蒸留直後・製造施設・ボトル充填の3回実施 |
| 第三者検証 | 認証機関による検証 | 外部の第三者ラボと自社ラボの二重検証 |
| 対象範囲 | 化学組成の基準値 | 化学組成+微生物+重金属+安定性まで包括 |






CPTGが信頼される理由
CPTGが単なるマーケティング用語ではない根拠は、次の3つに集約されます。
1. 第三者ラボによる独立検証
doTERRAは自社ラボだけでなく、複数の外部第三者機関に検査を委託しています。この「ダブルチェック体制」により、検査結果の客観性を担保しています。
2. Source to Youによる全バッチ公開
すべての精油ボトルにはバッチ番号が付与されており、消費者が自分でGC/MS検査レポートをオンラインで確認できます。これほど透明性の高い公開体制を持つ精油メーカーは希少です。
3. 8つの検査手法の組み合わせ
単一の検査では検出できない不正を、複数の異なる原理の検査を重ねることで網羅的に検出します。





CPTG 8つの検査を科学的に解説
doTERRAのCPTG基準は、大きく4つのステージに分けられた8つの検査手法で構成されています。


第1ステージ:官能検査(五感による一次スクリーニング)
すべての検査は、まず人間の五感からスタートします。
経験豊富な品質管理専門家が、精油の色、透明度、香り、粘度を確認します。長年の経験を持つ専門家は、微妙な違和感を直感的に察知できるため、この一次スクリーニングは軽視できない重要なステップです。
官能検査で確認されるポイント:
- 視覚:精油の色が基準範囲内か、濁りや浮遊物がないか
- 嗅覚:香りのトップノート・ミドルノート・ベースノートが正常か、異臭はないか
- 触覚:粘度が適正範囲か、テクスチャーに異常はないか
- 比重:精油の比重が基準プロファイルと一致するか
ただし、前述の通り五感だけでは合成品の混入を完全に検出することは困難です。官能検査はあくまで「ふるい」であり、ここを通過した精油が次の精密分析に進みます。



第2ステージ:GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)
GC/MSは精油品質検査の最も重要な柱です。
検査の原理:
- 精油を気化させる
- ガスクロマトグラフィーで各分子を分離する
- 質量分析計で各分子の質量とフラグメントパターンを同定する
- 結果を標準プロファイルと照合する


doTERRAの特徴的な運用:
GC/MS検査を3回実施します。
| 検査タイミング | 目的 |
|---|---|
| 蒸留直後 | 原料段階の品質確認 |
| 製造施設到着時 | 輸送中の劣化・汚染がないか確認 |
| ボトル充填時 | 最終製品としての品質保証 |



第3ステージ:FTIR(フーリエ変換赤外分光法)
FTIRは、精油に赤外光を照射して、分子構造を分析する手法です。
GC/MSが「何の成分がどれくらい含まれているか」を調べるのに対し、FTIRは「分子の構造がどうなっているか」を別の角度から検証します。
doTERRAでは、過去の高品質サンプルで構築した独自のデータベースとFTIR結果を照合します。これにより、GC/MSだけでは検出しにくい微妙な構造異常を発見できます。



キラリティ分析 — 分子の三次元配向を検証
天然の精油分子には「右手型」と「左手型」の立体構造(キラリティ)があります。
天然由来の成分は特定の比率で「右手型」と「左手型」が存在しますが、合成で作られた成分はこの比率が天然とは異なります。
キラリティ分析は、この立体構造の比率を精密に測定することで、天然由来か合成由来かを高精度で判別する強力な手法です。








同位体比質量分析(IRMS) — 産地まで特定する精密検査
IRMSは、精油中の炭素同位体比(¹²C / ¹³C)を測定する非常に高度な分析手法です。
植物由来の炭素と石油由来の炭素では、同位体の比率がわずかに異なります。この微小な差を検出することで:
- 石油由来の合成成分が混入していないかを確認できる
- さらに植物の生育地域をある程度推定できる





微生物検査 + 重金属検査
精油の安全性を確保するために欠かせない検査です。
微生物検査では、以下の4カテゴリーにわたって汚染の有無を確認します。
- 真菌(カビ・酵母):保管環境の湿度管理が不適切な場合に増殖リスクあり
- 細菌:収穫や蒸留過程での汚染を検出
- ウイルス:植物ウイルスの残留確認
- カビ毒(マイコトキシン):一部のカビが産生する有害物質の検出
植物由来の製品であるため、栽培・収穫・蒸留の各段階で微生物汚染のリスクが存在します。
重金属検査では、鉛、水銀、カドミウム、ヒ素などの有害重金属が安全基準値以下であることを確認します。栽培地の土壌状態によっては、植物が根から重金属を吸収し、蒸留後の精油にも微量が移行する可能性があります。
特に、水蒸気蒸留法では蒸留装置の材質も重要です。銅製の蒸留器からの銅の溶出など、製造過程由来の重金属混入リスクも検査対象に含まれます。



安定性試験 — 長期品質を保証する
最終段階の安定性試験では、精油を温度・湿度が制御されたチャンバーに入れ、時間の経過とともに品質がどのように変化するかを加速試験で評価します。
安定性試験で検証される項目:
- 化学組成の変化:酸化や分解による成分変動がないか
- 香りの持続性:時間経過で香りのプロファイルが変わらないか
- 色の変化:紫外線や温度による変色がないか
- パッケージの耐久性:ボトルやキャップの劣化、密封性の維持
doTERRAの琥珀色のガラスボトルは、紫外線から精油を保護するための設計です。安定性試験ではこのパッケージングの効果も含めて検証されています。
精油は天然物であるため、保存条件によっては酸化が進み、成分が変質する可能性があります。安定性試験を行うことで、適切な保管条件と使用期限を科学的に設定できるのです。
この試験により、消費者の手元に届いた後も品質が維持されることを確認しています。





Source to You — あなたの精油を追跡する
バッチ番号からGC/MSレポートを読む方法
doTERRAのすべての精油ボトルの底面には、バッチ番号が記載されています。
この番号を使って、自分が持っている精油のGC/MS検査レポートをオンラインで確認できます。


確認手順:
- 精油ボトルの底面のバッチ番号を確認する
- doTERRA公式サイト「Source to You」ページにアクセスする
- バッチ番号を入力する
- GC/MSレポートが表示される
GC/MSレポートの読み方(基本):
- ピーク(山)の位置:含まれている化学成分の種類を示す
- ピークの高さ:その成分の含有量を示す
- 全体のパターン:その精油に固有の「指紋」のようなもの






Co-Impact Sourcing — 生産者の顔が見える調達
doTERRAの品質へのこだわりは、検査だけにとどまりません。原料の調達段階から品質管理が始まっています。
Co-Impact Sourcing(コ・インパクト・ソーシング)は、doTERRAが推進する倫理的な調達プログラムです。
- 世界40カ国以上の生産地と直接パートナーシップを構築
- 各地域の専門知識を活かした最適な栽培・収穫方法を維持
- 生産者コミュニティへの公正な対価と社会投資
原料の品質は栽培環境で決まると言っても過言ではありません。適切な土壌、気候、標高で育てられた植物から蒸留された精油は、化学成分のバランスが整っています。
たとえば、フランキンセンスはソマリアの限られた地域でしか高品質なものが採れません。ラベンダーはフランスやブルガリアの高地が最適地とされています。こうしたテロワール(土地固有の環境条件)が精油の品質を決定づけるため、どの土地の、どの生産者から調達するかは極めて重要な要素なのです。
Co-Impact Sourcingの取り組みは、単に「良い原料を安く買う」ことが目的ではありません。生産者コミュニティの経済的安定と技術向上を支援することで、持続可能な品質の原料供給チェーンを構築しています。doTERRA Healing Hands Foundationを通じた社会貢献活動もこの理念の延長にあります。





doTERRAの最新研究 — 分子ドッキングと臨床試験
doTERRAは精油の品質管理だけでなく、精油の科学的研究にも積極的に投資しています。
分子ドッキング技術 — 精油業界初のin silico研究
精油業界で初めて導入されたin silico(コンピューターシミュレーション)分子ドッキング技術は、精油成分がタンパク質とどのように相互作用するかをコンピューター上で予測する手法です。
これにより、膨大な精油成分の中から有望な組み合わせを効率的にスクリーニングし、実験室での研究を加速させています。
Roseman University との共同研究
doTERRAはRoseman大学と共同で、精油がタンパク質発現に及ぼす影響に関する研究を進めています。基礎研究レベルでの科学的エビデンスの蓄積は、精油の可能性を客観的に評価するための重要な取り組みです。
MetaPWR臨床試験
doTERRAのCMO(最高医療責任者)は、MetaPWRブレンドに関する臨床試験の結果を公式に発表しています。臨床試験とは、実際の参加者を対象に行われる科学的な検証であり、精油業界では極めて珍しい取り組みです。
こうした研究姿勢は、「感覚」や「伝統」だけに依存するのではなく、科学的根拠に基づいた精油の活用を推進するdoTERRAのビジョンを体現しています。
2030年ビジョン
2026年のLeadership Retreatにおいて、doTERRAは「2030年までに影響を3倍にする」という目標を発表しました。これは単なる売上目標ではなく、科学研究、品質管理、生産者支援のすべてにおいてスケールを拡大するという宣言です。











精油を正しく選ぶための5つのチェックポイント
ここまでの知識を踏まえて、精油を購入する際に確認すべき5つのポイントをまとめます。


チェック1:GC/MS検査結果が公開されているか
信頼できるメーカーは、精油のGC/MS検査結果を消費者に公開しています。「公開しています」と謳うだけでなく、バッチ番号ごとに個別のレポートが確認できるかがポイントです。代表的なサンプルだけの公開ではなく、あなたが手にしたまさにそのボトルの検査結果が見られるかどうかが重要です。
チェック2:検査は自社のみか、第三者機関も関与しているか
自社検査だけでは客観性に限界があります。独立した第三者ラボとの二重検証体制を持つメーカーは信頼度が高いと言えます。第三者検証は食品や医薬品の世界では当然の品質保証手法であり、精油においても同様の厳格さが求められます。
チェック3:産地・植物種が明確に表示されているか
ラベルに学名(ラテン名)と原産地が明記されているかを確認してください。通称名だけでは、同じ名前で異なる植物種が使われている可能性があります。たとえば「ラベンダー」という名称でも、Lavandula angustifolia(真正ラベンダー)とLavandula latifolia(スパイクラベンダー)では成分組成がまったく異なります。
チェック4:品質基準の具体的な内容が開示されているか
「高品質」「最高級」といった抽象的な言葉ではなく、具体的にどのような検査を行っているかが開示されているかを確認してください。検査手法の名称、検査回数、検査基準値——これらを明確に説明できるメーカーは、品質管理に本気で取り組んでいる証拠です。
チェック5:企業の調達・研究への取り組みが透明か
品質は原料段階から決まります。調達先との関係性や科学的研究への投資を公開しているメーカーは、長期的な品質向上にコミットしていると判断できます。生産者との継続的なパートナーシップは、安定した品質の原料を確保するための基盤です。短期的な利益ではなく、持続可能な調達に投資しているかどうかを見てください。






よくある質問(FAQ)


















まとめ:品質がわかれば、精油の世界が変わる
精油の品質管理は、目に見えない部分だからこそ重要です。
CPTG品質基準は、官能検査からGC/MS、FTIR、キラリティ分析、IRMS、微生物検査、重金属検査、安定性試験という8つの検査を組み合わせ、さらに3段階の繰り返し検査と第三者ラボによる独立検証を加えた、業界でも類を見ない多層的な品質保証体制です。
Source to Youによる消費者自身が確認できる透明性、Co-Impact Sourcingによる倫理的な調達、そして分子ドッキング技術をはじめとする最新研究——これらすべてが、「安心して使える精油」を支えています。
精油選びにおいて、ラベルの表示だけでなく、その裏側にある品質管理体制に目を向けてみてください。
この記事で解説したCPTG基準の知識は、doTERRAの精油に限らず、あらゆる精油を選ぶ際の判断基準として活用できます。「この精油はどのような検査を経ているのか?」「検査結果は公開されているのか?」——この問いを持つだけで、精油との付き合い方は大きく変わるはずです。
品質がわかれば、精油の世界はもっと広がります。








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