【ラベンダー】-気持ちが和らぐやさしいフローラルの香り-

学名:LaranhileangustifoliaMill,176科名:シソ科産地:地中海地方辦原
抽出部位・方法:花から水蒸気蒸留
香りの特徴:やさしいフローラルの香りノート:ミドル香りの強さ濃度2ブレンドの分類:エンハンサーイクオライザー、モディファイヤー
相性のよい精油:柑橘系オイル、クラリセージ、ゼラニウム、フランキンセンス
芳香化学成分
モノテルペン炭化水素トランス-β–オシメン(1.98%)、シス-β-オシメン(4.3%)、α-ピネン(0.2%)、δ-3-カレン(0.3%)
モノテルペンアルコール類リナロール(33.5%)、テルピネン-4オール(4%)、
ラバンジュロール(1.4%)、α-テルビネオール(1.2%)
セスキテルペン酸化水素類:B-カリオフィレン(3.5%)、
B-ファルネセン(3.7%)
ケトン類:3-オクタノン(1.4%)
オキサイド類:1,8シネオール(18)
リナロールオキサイド(0.3%)
エステル類:酢酸リナリル(27.7%)、
3-アセトキシ-1-オクテン(1.4%)、酢酸ラパンデュリル(5.2%)
安らぎを与える花の香り
ラベンダーはラテン語で「ラワーレ(洗う)」を意味し、沐浴に利用されていたことが由来といわれています。青紫色の花が咲くラベンダーにはさまざまな種類があり、成分構成も大きく異なります。ここで紹介するものは、ほかの種に比べて香りが豊かな「真正ラベンダー」と呼ばれているものです。

昔から愛用されている万能ハーブ
ラベンダーは昔からさまざまな作用が認められ、万能ハーブとして活用されてきました。20世紀初頭のフランスで、化学実験中にやけどを負った化学者が、ラベンダーのエッセンシャルオイルを塗ったところ驚くほど治りが早かったことから、研究が始まったと言われています。ひと昔前まではラベンダーの生産はフランスが有名でしたが、今ではブルガリアを含む欧州全土や中国などいくつもの地域で栽培されています。

有用性
心穏やかさと安らぎをもたらす
精油の中でも鎮静作用が高く、不安を取り除いて、安眠へと誘う作用が優れています。緊張やストレスを和らげ、ゆったりと落ち着いた気分に。意識、健康、愛情、心の安らぎ、一般的な意味での幸せを促進し、創造性育成にも期待できます。
抗不安、鎮静、安眠、抗うつ、頭脳明晰化、感情のバランス

体肩こりや片頭痛に活用を
血圧を安定させ、呼吸を整えます。多くの作用がありますが、鎮痛作用が有名で、頭痛や肩こり、筋肉痛の緩和に役立ちます。
鎮痛、抗炎症、血圧降下、抗菌抗真菌、抗凝固、抗ヒスタミン、防腐、強壮、駆風、胆汁分泌、解毒、利尿、通経、刺激、制吐、血行促進、整腸鎮痙、抗感染、消炎、
抗微生物、抗変異原性、抗痙攣、抗腫瘍、心臓強壮、再生

肌トラブルをケアし肌を整える
皮脂分泌を調整したり、細胞の成長を促進させる働きがあり、肌を整えます。皮膚の再生を助けるので、日焼けや傷、やけどを早くケアします。
抗炎症、皮脂分泌調整、瘢痕形成、デオドラント、組織再生

その他防虫

注意新生児や幼児に使用する際は、必ず薄めてください。

使用方法

芳香浴:空気中に散布してもよいでしょう。

塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。足裏の反射区やツボと患部に1、2滴塗ってください。

摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要が
ある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。

沐浴:バスタブにオイルを1、2滴入れて、入浴します。

美容:無香シャンプー30mlにオイルを1滴入れ、シャンプーします。

家事:水を入れたスプレー式容器にオイルを数滴加えてよく混ぜ、消臭スプレーとして使用できます。また、布やティッシュにオイルを1、2滴垂らして容器に入れ、押し入れに置けば、防虫効果が期待できます。

おすすめの活用法

ラベンダーは肌にやさしく赤ちゃんから使えるうえ、情緒調整力を持つ心にも体にも働きかけるさまざまな作用があるので、緊急時に大活躍します。家に常備しておくのはもちろん、外出時にも携帯するといいでしょう。マッサージオイルとして使用すると、体の組織を柔軟にし、ストレス緩和に役立ちます。

不眠メラトニンの分泌を促し良質な睡眠を与える
ディフューザーに1~6滴入れて寝室を香らせるか、ハンカチにオイルを2、3滴垂らし、枕元に置きます。就寝前のアロマバスもおすすめ。

目の疲れ・充血目元の血行を促し疲労物質を除去
洗面器にお湯をはり、オイルを1、2滴加えて薄手のタオルを浸し、絞って目の上に温湿布をします。充血した目には冷湿布をしましょう。

やけどやけどの治癒を促し皮膚の再生修復を助ける
皮膚などの組織損傷への対応に優れています。患部を冷やし、コットンにオイルを1滴垂らして軽く塗ります。やけどの痕が消えるまで1日2、3回塗りましょう。

日焼けほてった肌を鎮め皮膚ダメージを軽減
120mlの水を入れたスプレー容器にオイルを10滴ほど垂らし、混ぜ合わせて、患部にスプレーします。コットンパックをしてもいいでしょう。

スキンケア乾燥肌や肌荒れニキビの緩和に期待
スプレー式容器に水30mlとオイル6滴を入れて、よく混ぜてから室内にスプレーしましょう。気分をリラックスさせ、空気の乾燥を和らげます。肌荒れやニキビなどのケアにも。
ヘアケア美肌だけでなく美髪にも有用
肌だけでなく、髪への美しさを作ります。シャンプーやコンディショナーに1滴加えるだけでも、抜け毛や切れ毛のケアに役立ちます。

抵抗力向上芳香浴で体調管理
ディフューザーを使って、部屋に散布することで、体の抵抗力を高めます。風邪などの症状を抑えるほか、季節の変わり目に生じる体調不良へも働きかけます。

Column
コミュニケーションのオイルとして

ラベンダーは自己表現する際の恐怖や緊張を取り去り、本当の自分で人と接することができるようサポートしてくれることから「コミュニケーションのオイル」と言われています。

対応する症状

ニキビ、アレルギー、痙攣(足)、フケ、おむつかぶれ、脱毛、消化不良、更年期障害、不安、関節炎、喘息、気管支炎、単純ヘルペス、花粉症、頭痛、ヒステリー、虫さされ、偏頭痛、思考力の低下、リウマチ、皮膚疾患(温疹、乾癬、発疹)、捻挫、ストレス、日射病、咽頭感染、せき、熱、傷、不眠、血圧低下、あざ、吹き出物、じんま疹、日焼け(唇も含む)、神経緊張、便秘、肩こり、風邪、月経痛、冷え性、くま・くすみ、シミ・シワ、乾燥肌、メタボ、水虫、体臭、乗り物酔い、のどの痛み、ダイエット、敏感肌脂性肌、普通肌、リラックス

研究報告

不安症:歯の治療を待っている患者がラベンダーかオレンジのオイルの香りを嗅ぐと、対照グループと比較して、不安が少なくなって気分が良くなることが判明した(Lehrneretal.,2005)。
不安と睡眠:集中治療室における56人の経皮的冠動脈形成術患者を対象とした研究実験において、ラベンダー、ローマンカモミール、およびネロリのアロマセラピーブレンドは、従来の看護介入と比較して、不安を軽減し睡眠の質を改善した(Choetal.,2013)。
不安症:ラベンダー・エッセンシャルオイルは、不安や鬱病に関与していると考えられているいくつかの受容体に結合し、それらを抑制することが判明した(Lopezetal.,2017)。

ストレス:ラベンダーの香りが精神的なストレスを軽減し、意識を覚醒することが判明した(Motomuraetal.,2001)。
ストレス:集中治療室(ICU)勤務の看護師にラベンダー(学名:Lavandulaangustifolia)とクラリセージ(学名:Salviasclaria)のエッセンシャルオイルを部分的に塗布したところ、ストレスの認識が減少した(Pembertonetal.,2008)。

鎮痛作用:ウサギの反射テストで、ラベンダー作用があることが判明した
(Ghelardinietal.,1999)。
鎮痛作用:帝王切開術後疼痛管理のためのラベンダーオイルの使用を評価する三重盲検無作為化プラセボ対照実験を60人の被験者で行ったところ、ラベンダー吸入(プラセボ吸入と比較した場合)は、術後疼痛を減少させ患者の満足度を高めることが判明した。さらに、ラベンダーオイルを吸入する患者は、補助鎮痛薬としてジクロフェナク坐剤の投与量がプラセボ群よりも圧倒的に軽減された。ラベンダーエッセンシャルオイルは単独の鎮痛療法としては推奨されていないと述べている(Olapouretal.,2013)。
鎮痛作用:初めて出産した女性を対象とした小規模研究実験で、ラベンダーオイルを吸入すると陣痛の重症度が軽減されることが判明した(Yazdkhastietal.,2016)。

痙攣作用:ラットの実験で、エッセンシャルオイル数種の成分であるリナロールが、NMDAレセプター複合体に直接作用して、ラットの誘発痙攣を抑制することが判明した(Brumetal.,2001)。

抗真菌作用:ラベンダー・オイルは、カンジダ菌(学名:Candidaalbicans)に対して、静真菌性(真菌の成長を停止させる)と殺真菌性(真菌を殺す)の双方の作用を示した(D’Auriaetal.,2005)。

抗炎症作用:ラベンダー(学名:Lavandulaangustifolia)のオイルは、ラットの身もだえするような動きと、カラギーナンで誘発した四肢の浮腫(炎症)を減少させ、消炎効果を示した(Hajhashemietal.,2003)。
抗炎症作用:(ラベンダーやその他のエッセンシャルオイルから取り出した)リナロールと酢酸リナリルは、カラギーナンで誘発した浮腫(炎症)ラットで、消炎反応を示した(Peanaetal.,2002)

抗微生物作用:ラベンダー(学名:Lavandulaangustifolia)のエッセンシャルオイルが、1%以下の濃度で、原虫の病原体であるジアルジア(学名:Giardiaduodenalis)、トリコモナス(学名:Thrichomonasvaginalis)、ヘガミタ(学名:Hegamitainflata)を根絶できることが判明した(Moonetal.,2006)。

抗バクテリア作用:走査型電子顕微鏡分析とゼータ電位測定により、多剤耐性のある大腸菌に対するラベンダー・エッセンシャルオイルの抗バクテリア作用は、外膜透過性の変化とバクテリア・クオラム・センシング(細菌集団感知機構)の阻害能力、この2つのメカニズムで起こることが明らかになった(Yapetal.,2014)。

抗変異原性:変異誘発性の試験で、ティーツリー(メラルーカ)とラベンダーが、双方とも、変異を促進しないことが判明した。ラベンダー・オイルは強力な抗変異誘発作用も示し、既知の変異誘発物質にさらした細胞の変異を減少させた(Evandiietal.,2005)。

抗腫瘍作用:ペリリル・アルコール(ラベンダーヒハッカ類の植物に含まれています)で処置されたマウスでは、腫瘍発症数が22%低下し、マウスで行った肺腫瘍の生物検定では、腫瘍の増殖が58%低下した(Laniryetal.,1997)。
抗腫瘍作用:肝臓に腫瘍があるラットにペリリル・アルコールを処置したところ、処置したラットのガン細胞がアポトーシスを起こしたことにより、処置していないラットよりも、処置したラットの腫瘍が小さくなった(Millsetal.,1995)。
抗腫瘍作用:ペリリルアルコール(ラベンダーの木から採取)が入った食事を与えられたラットは、対照グループと比較して、結腸における腫瘍の発生数と増殖が少ないことが判明した。結腸腫瘍がある動物にペリリル・アルコールを食事として与えたところ、対照グループよりも細胞のアポトーシス発生数が増加することが判明した(Reddyetal.,1997)。

鎮静作用:ラベンダーの香りを嗅がせたジャービル(荒地ネズミ)は、高架式十字迷路で不安が減少した。長期間(2週間)嗅がせたメスでは、更に不安が減少した(Bradleyetal.,2007).
鎮静作用:マウスがラベンダー・オイルとその成分であるリナロールと酢酸リナリルを嗅ぐと、マウスの通常の動きが減った。カフェインで活発な動き(多動)を誘発した後、同じオイルと成分を嗅がせると、マウスが通常の行動速度に戻った(Buchbaueretal.,1991)。
鎮静作用:集中治療室(ICU)の患者のうち、ラベンダーのアロマセラピーを受けた患者は、マッサージだけを受けた患者や安静にしているだけの患者よりも、気分がよくなって不安の認識が改善したと言った(Dunnetal.,1995)。
鎮静作用:イエハツカネズミにオリーブオイルで薄めたラベンダーオイルを食事として与えたところ、よく実施するいくつかのテストでおだやかになった
{Guillemainetal.,1989)。
鎮静作用:慢性的に血液透析を受けている患者に、ラベンダーの香りを嗅がせたところ、不安が減少した(Itaietal.,2000)。
鎮静作用:老齢の認知症患者がラベンダー・オイルを吸い込むと、興奮の低下が見られた(Linetal.,2007)。
鎮静作用:ラベンダー・オイルが、ラットの交感神経の活動を抑制して、副交感神経の活動を刺激することが見られた。ラベンダーの成分であるリナロールにも、ほぼ同じ効果が見られた(Shenetal.,2005)。
鎮静作用:ラベンダー・オイルは、マウスで、抗不安薬ジアゼパムが示す効果とほぼ同じ、抗葛藤効果を示した(Umezuetal.,2000)。

アレルギー:ラベンダー・オイルが、マウスとラットで肥満細胞の脱顆粒を抑制することにより、即時型のアレルギー反応を抑制することが判明した(Kimetal.,1999)

不眠症:不眠で悩んでいる女子生徒が、ラベンダーの香りを嗅いだ週は、嗅がなかった週よりも、よく眠れるようになって鬱も軽くなった(Leeetal.,2006)。
不眠症:ラベンダーエッセンシャルオイルアロマセラピーのセッションを24回行うと、対照群と比較して、終了後1週間以内に不眠症中年女性の睡眠の質が改善されることが判明した(Chienetal.,2012)。
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睡眠:睡眠スケジュールを変更した60人の看護師が、ラベンダーエッセンシャルオイルを吸入した後の睡眠の質が向上していることが判明した(Kimetal.,2016)

血圧低下:ラベンダー・オイルの香りが、ラットの交感神経の活動と血圧を低下させつつ、副交感神経の活動を高めたことが判明した。更に無嗅覚誘発剤(嗅覚を失う原因になるもの)を使用すると、ラベンダー・オイルの香り効果が消えた(Tanidaetal.,2006)。

更年期障害:リナロールまたはラベンダーエッセンシャルオイル(大量のリナロールを含む、5種類のラベンダーオイルのブレンド)の吸入は、メス更年期のラットモデルにおいて、エーテル吸入によるアドレナリン、ノルアドレナリン、およびドーパミンレベルの減少の回復に役立つことが判明した。これらの結果はラベンダーまたはリナロールが緊張緩和に寄与し、更年期障害の治療に適用できる可能性があることを示唆している(Yamadaetal.,2005)。

喘息:ラベンダーオイルの長期吸入は、急性喘息のマウスモデルにおいてアレルギー性気管支炎と粘液分泌細胞の過形成を抑制することが判明した
(Ueno-lioetal.,2014)。

頭痛:片頭痛と診断された被験者に、頭痛を軽減するためにラベンダー・エッセンシャルオイルの吸入を行うことは、プラセボの吸入よりも効果的であることが判明した(Sasannejadetal.,2012)。

気管支炎:慢性気管支炎の患者では、ラベンダーによって脂質レベルの正常化が促されることが見られた(Siruinetal.,1997)。

高血圧:83人の高血圧症または高血圧症予備軍の被験者を以下の3つのグループ、研究グループ(ラベンダー、イランイラン、マジョラム、ネロリを含むエッセンシャルオイルブレンドを拡散)、プラセボグループ(人工香料を拡散)、そしてコントロールグループ(香りなし)に分けた。研究グループは、家庭内血圧の即時かつ長期的に低下することが判明した(Kimetal.,2012)。

虫除け:ラベンダー・オイルに、DEET(ジエチルトリアミド)と同じ、マダニ(学名:Hyalommamarginatumn)撃退効果が見られた(Mkoloetal.,2007)。
虫除け:接ぎ木した林檎の芽にラベンダー(学名:Lavandulaangustifolia)のエッセンシャルオイルを塗ると、アメリカハナズオウという植物の葉を食べる害虫の外寄生が、95%以上減った(vanToletal.,2007)。

思考力の低下:ラベンダーの香りを3分間嗅いだ被験者は、リラックスして、数学の計算がそれまでよりも速く正確にできるようになった(Diegoetal.,1998)。
思考力の低下:クレンジングジェルのラベンダーの香りを嗅いだ被験者は、リラックスして、数学の計算がそれまでよりも速くできるようになった(Fieldetal.,2005)

月経困難症:合成香料と比較して、月経時にラベンダー、マジョラム、およびクラリセージのエッセンシャルオイルのプレンド(2:1:1の比率)で腹部を毎日マッサージすると、月経困難症の痛みが減少、痛みを生じる時間が短縮した
(Ouetal.,2012)。

アルツハイマー病:ラベンダーとその主成分であるリナロールは、アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、認知機能に関連した特定の脳経路における酸化ストレ:スを緩和することが判明した(Xuetal.,2017)。

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