学名:Melissa officinalis L. 1753 科名:シソ科
産地:アイルランド、フランス
抽出部位・方法: 葉と花から水蒸気蒸留
香りの特徴: ミントとレモンを合せたような香り ノート:ミドル 香りの強さ 濃度2
ブレンドの分類:エンハンサー イクオライザー、モディファイヤー
相性のよい精油: ゼラニウム、ラベンダー、フローラル系や柑橘系のオイル
芳香化学成分
モノテルペン炭化水素類:トランス-B-オシメン(23)
モノテルペンアルコール類: ゲラニオール(2.1%)
セスキテルペン炭化水素類: β-カリオフィレン (13.4%)、 ゲルマクレン D(4.1%) アルデヒド類: シトロネラール(4.3%)、 ネラル(23.1%)、 ゲラニアール(30.2%) エステル類: 酢酸ゲラニル (2.9%)
麗しい花蜜を持つハーブ
レモンバームの名で知られるメリッサ。晩夏に柑橘系の香りがする甘い蜜でハチを惹きつけることから、ギリシャ語でミツバチという意味の名がつきました。古代からメディカルハーブとして大切にされ、ヨーロッパでは昔から「長寿のハーブ」として愛用されていたそうです。爽やかなレモンと甘いハチミツのような香りは、たくさんの人に愛される香りです。
心身に働きかける万能オイル
16世紀、スイスの医師パラケルススはメリッサを蒸留してエッセンシャルオイルを作り、「不老不死の妙薬」と呼びました。繁殖力が強く栽培するのは容易です。しかしオイルの含有率は低く、5トンの花や葉からたった1リットルしか抽出できません。そのため、メリッサのエッセンシャルオイルは大変貴重なものです。安価なものは他のエッセンシャルオイ
ルやキャリアオイルがブレンドされている可能性もあるので注意してください。
また最近では、メリッサを療法に用いるさまざまな研究も進められています。認知症による興奮を抑える作用なども、報告されているようです。感受性豊かな心のバランスを取るのが得意なオイルなので、日常的に香りを楽しみましょう。
【有用性】
心心を鎮めて落ち着かせる
感情のバランスを整え、いら立ちや興奮を抑え、心を鎮め神経を落ち着かせてくれます。パニックや極度の緊張感にも適しています。
鎮静、抗うつ
体消化器系の不調に働きかける
消化器系や内分泌系の働きを整え、不調をケアします。また、風邪や気管支炎、喘息の症状を緩和する作用もあります。
抗ウイルス、抗バクテリア、抗ヒスタミン、抗痙攣、血圧降下、消化促進、鎮痛、
胆汁分泌促進、駆風、強心、子宮強壮、抗酸化、高血圧、強壮、神経鎮静
肌湿疹やかゆみを和らげる
アレルギー症状を緩和させる働きがあるので、湿疹やかゆみを和らげます。脂っぽい頭皮のケアにもおすすめです。
抗アレルギー、抗ヒスタミン、抗炎症、抗酸化
注意
妊娠や授乳中、アレルギーがある方、お子さまは医師にご相談のうえご使用ください。
使用方法
芳香浴:ビンから直接香りを吸引するか、空気中に散布します。
塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。足裏の反射区やツボと患部に1、2滴塗ってください。
摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要が
ある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。
沐浴:バスタブに1、2滴入れて良くかき混ぜたあと、ゆっくりとお湯につかってください。
美容:お手持ちの化粧品やボディローションなどに1滴入れて使用できます。
おすすめの活用法
ストレスが原因で起こる諸症状やアレルギー性の疾患に役立ちます。また、最近の研究からは摂取により、老化予防やアルツハイマー病に対しての作用も示唆されています。
口腔ヘルペスウイルスを抑制して症状を緩和
単純ヘルペスが原因で起る口腔へルベスに有用です。キャリアオイル15mlに1、2滴を入れて薄め、綿棒につけて患部に塗ります。単純ヘルペスによる水泡には、上記の薄めたオイルを1日3回直接塗布してください。
動悸鼓動が大きく感じる精神的な動悸をケア
キャリアオイル15mlにオイルを1滴加えて混ぜ合わせたら、1、2滴を耳の周囲に塗ります。空のカプセルに原液を1、2滴入れて飲んでもいいでしょう。
せき、気管支炎抗炎症作用で粘膜の炎症を緩和
コップの水に1滴入れて、うがいをします。または空のカプセルに1、2滴入れて飲みます。
アレルギー抗アレルギー作用でかゆみの鎮静にも活躍
キャリオイル15mlに1、2滴入れます。アレルギー性喘息は胸・肩・背中に、アレルギー性皮膚疾患は患部に塗ります。
対応する症状
喘息、気管支炎、慢性のせき、風邪、うつ、湿疹、熱、消化不良、虫さされ・かゆみ、不眠、月経疾患、偏頭痛、吐き気、神経緊張、動悸、めまい、嘔吐、アレルギー、単純ヘルペスによる水泡、不安、ショック、月経痛、メタボ、乗り物酔い二日酔い、せき、のどの痛み
研究報告
抗ウイルス作用:メリッサ・オイルが単純ヘルペスのタイプ1と2のウイルスを抑制した(Schnitzleretal.,2008)。
鎮静作用:臨床試験の結果では、メリッサとバレリアンのオイルを組み合わせて少量投与すると、不安が軽減された可能性があることが示唆されている(Kennedyetal.,2006)。
鎮静作用:重度の認知症患者に、メリッサ(レモンバーム)オイルをローションの形で部分的に塗ると、プラセボ・ローションを塗った場合よりも、興奮が軽減され、QOL(生活の質)因子が向上した(Ballardetal.,2002)。
せん痛:ビタミンを含有するプラセボと比較した場合、ジャーマンカモミール、フェンネル、メリッサを含有する植物治療薬を投与してから1週間以内に、母乳を飲んでいる乳児のせん痛が改善した(Savinoetal.,2005)
抗炎症作用:メリッサオイルは、動物モデルの炎症を軽減するのに役立つことが判明した(Bounihi,2013)。
アテローム性動脈硬化症:メリッサエッセンシャルオイルは、遺伝子組み換えのマウスで脂質低下作用があることがわかった。メリッサ・エッセンシャルオイルを2週間経口投与したマウスは、血漿トリグリセリド濃度が低く、代謝経路が変化した。これらの結果はメリッサオイルが心血管疾患発症の主原因の1つである、高トリグリセリド(中性脂肪)血症の予防に有益である可能性を示している(Junetal.,2012)。
糖尿病:メリッサ・エッセンシャルオイルの経口補給は、2型糖尿病マウスモデルにおいて、対照群と比較して血漿グルコースレベルを有意に低下させ、耐糖能を向上させた(Chungetal.,2010)。
コメント