学名:MeriaxpiperinL..1753科名:シソ科
産地:アメリカ、ヨーロッパ、中国
抽出部位・方法:葉、茎花のつぼみを水蒸気蒸留
香りの特徴:鋭くて強いハッカの香りノート:トップ香りの強さ:濃璃5ブレンドの分類:パーソニファイヤー
相性のよい精油:レモン、オレンジ、サイプレス、フランキンセンス、ラベンダー
芳香化学成分
モノテルペン炭化水素類:リモネン(2.2%)、B-ピネン(1.2%)
モノテルペンアルコール類:メントール(37.8%)ネオメントール(3.8%)
セスキテルペン酸化水素類:B-カリオフィレン(2.8%)、ゲルマクレンD(1.8%)
ケトン類:メントン(21.9%)、イソメントン(4%),プレゴン(1.6%)
オキサイド類:1,8-シネオール(5.7%)
エステル類:酢酸メンチル(6.1%)フラン:メントプラン(2.8%)
清涼感のある香りが特徴
ミントには種類がたくさんあり、ペパーミントはウォーターミントとスペアミントの交配種
です。古代エジプト時代から生薬として栽培されてきた、歴史ある植物のひとつ。和名はコ
ショウハッカ、西洋ハッカです。メントールの成分を多く含み、澄み渡るスッキリとした香りが魅力です。清涼感はもちろん、消炎作用もあるのでのど飴にもよく使われます。
幅広く活用できるオイル
ペパーミントには30種類以上の成分が含まれ、その複雑さが体や精神に
働きかけます。なかでもメントールが持つ筋肉を弛緩させる働きは医療分野でも認められています。収縮信号を細胞へ送るイオンの流れをメントールがブロックすることで、筋肉の収縮を抑制すると考えられています。
【有用性】
心中枢神経を刺激しリフレッシュ
心主成分のメントールが気持ちを切り替えさせ、怒りや興奮を鎮めます。混乱している心や無気力にも働きかけます。
鎮静、刺激、抗うつ
体優れた鎮痛作用で痛みを緩和
胃の働きを活発にしたり、腸内ガスの排出を促し、体の活性化が期待できます。鎮痛作用も優れ、筋肉痛や神経痛、頭痛の緩和に有用的です。
鎮痛、抗バクテリア、抗発がん、消炎、防腐、抗痙攣、抗ウイルス、消化促進、解熱、抗菌、去たん、抗炎症
肌かゆみや炎症をケア
かゆみを鎮めてくれるほか、冷却作用や抗菌作用もあります。虫さされのかゆみのケアにも有用性を発揮します。
抗痒、抗菌、冷却、消炎、収れん
MEMO
クールな香りが体と脳を刺激するエステル
ペパーミントは光沢のある濃い緑色の葉です。目の覚めるような強い清涼感を持つメントールという成分が多く含まれ、薬理作用に関与しています。また、ペパーミントのクールな香りは有機化合物であるエステルが関与しています。
そんなクールな香りが中枢神経を刺激して、脳機能を活性化させます。そして、筋肉にも働きかけ、カルシウムイオンを調整。痙攣を抑える作用があると言われています。そのため、海外では、過敏性腸症候群(IBS)などの消化器系サポートに用いられています。体を冷却する作用がある一方、血行をよくする作用を持つので、打ち身や筋肉痛などの改善に期待できます。
使用方法
芳香浴:ビンから直接香りを吸入するか、空気中に散布します。
塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。足裏の反射区やツボと患部に1、2滴塗ってください。敏感肌の方や子どもは、キャリアオイル10mlに1、2滴入れて、薄めて使用しましょう。
摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要が
ある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。
沐浴:暑い季節にバスタブに1、2滴垂らし、入浴するとすっきりします。
美容:1カップの水に1滴垂らして飲むと、口臭ケアができます。
家事:抗菌、防臭作用があり、キッチンやバスルーム、トイレなどハウスクリーニングにも利用できます。
おすすめの活用法
ペパーミントは心や体、肌にさまざまな働きをしますが、主成分のメントールは脳へも働きかけます。脳を刺激して意識をはっきりさせ集中力や記憶力を高めたり、眠気を防止したり、時差ボケにも有用的です。クールな性質が頭痛や歯痛を緩和。心身のストレスも和らげてくれます。仕事や勉強はもちろん、運転時にも役立ちます。様々なSOSにアプローチできる便利なオイルなので、携帯必須アイテムです。
乗り物酔い乗り物酔いの不安と吐き気もケア
ハンカチに1滴オイルを垂らして香りを吸入します。1、2滴のオイルをカプセルに入れて飲むか、水またはお湯に入れて飲んでもよいでしょう。
のどの不快症状たんを取り除いてのどをすっきり
カップ1杯の水にオイルを1滴入れてうがいをします。お湯を入れたカップにオイルを垂らして、香りとともに蒸気を吸い込んでもいいでしょう。
口臭・体臭殺菌・消臭作用で口臭や体臭対策に
口臭対策には、1カップの水にオイルを1滴垂らして飲みます。夏場の汗や足のにおいには、バスタブに2、3滴オイルを入れてアロマバスを作って、入浴するとよいでしょう。
肩こり筋肉疲労や緊張を和らげてラクにする
患部に2、3滴塗り、1日に2、3回マッサージします。ペパーミント1滴、ラベンダー2滴とキャリアオイル20mlを混ぜてマッサージオイルを作り、使うのもおすすめ。
集中力脳を刺激して眠気解消も
ペパーミントをテッシュペーパーか、ハンカチに落として、机の上やそばに置き、香りをかぐと頭がすっきりし、集中力が増し、眠気を解消するのに役立ちます。
ドライブ車内環境を整え安全運転へ
ドライブ中に眠気が襲ったら、びんから直接香りを吸入してください。集中力も高まります。また、車の換気口に1滴垂らしていくと、車内に爽やかな香りが広がります。
頭痛ひんやり成分が心身の緊張を緩和
ペパーミントのひんやりとした性質が頭痛を緩和してくれます。こめかみに1滴塗り込んでください。筋肉や心の緊張を和らげるのに有用なので、心身の疲労やストレス緩和に役立ちます。
水虫足のにおいと感染対策に
ペパーミントの殺菌、消毒、消臭作用は、足のにおいや水虫などの感染を抑える働きがあります。オイルを加えたお湯での足浴がおすすめです。
注意繰り返し使用すると、接触によって極度のアレルギー反応が起きることがあります(接触感作)。妊娠中の方や高血圧症の方は注意して慎重にお使いください。
ハウスクリーニングキッチン、バスルーム、トイレの防臭抗菌に。
水を入れたバケツに2、3滴入れ、ぞうきんをすすぐと抗菌に役立ち、50mlの水を入れてスプレー式容器に10滴入れてスプレーすると除菌に役立つでしょう。
対応する症状
熱のぼせ、吐き気、ショック、皮膚(かゆみ)、咽喉感染、怒り、関節炎、疝痛、疲労、食中毒、頭痛、じんま疹、過敏性腸症候群(IBS)、肝臓疾患、記憶力、つわり、放射線照射、リウマチ、皮膚の治癒と冷却(暑い日の体のほてり)、歯痛、乗り物酔い、炎症、神経(再生と補助)、結核、消化不良、口臭、胸やけ、ヒステリー、気力回復、やる気喪失、うつ、便秘、下痢、肩こり、風邪、月経痛、花粉症、不安、傷、二日酔い、せき、のどの痛み、筋肉痛、腰痛、ヘアケア、ダイエット、リフレッシュ、集中力
研究報告
持久力:ペパーミントエッセンシャルオイルを含むミネラルウォーターを10日間摂取する前後の運動パフォーマンスを比較した準実験では、ペパーミントオイルを摂取した後の運動パフォーマンスが改善することが判明した(呼吸効率、エネルギー消費、エネルギー消耗までの時間、運動中の距離の増加、安静時および運動時の心拍数の減少を含む)(Meamarbashietal.,2013)。
放射線照射:体全体にガンマ放射線を照射したマウスのうち、ペパーミントルを与えられたマウスは17%だけが死亡し、ペパーミント・オイルを与えられなかったマウスは100%死亡した。あらかじめペパーミント・オイルを摂取させていたマウスでは、30日後に赤血球が通常レベルに戻ったが、対照グループのマウスでは戻らず(最後には死亡)、ペパーミントオイルに血幹細胞を保護するか活性化する効果があることが示唆された(Samarthetal.,2004)。
放射線照射:ペパーミントの抽出物をマウスに経口投与したところ、ペパーミントの抽出物にガンマ放射線の照射による損傷から精巣を守る効果があることが示された(Samarthetal.,2009)。
放射線照射:ペパーミント・オイルで前処置したマウスに、ガンマ放射線を照射したところ、ペパーミントで前処置しなかったマウスよりも、骨髄細胞の喪失が少ないことが示された(Samarthetal.,2007)。
頭痛:ペパーミント・オイルとエタノールを組み合わせると、頭痛感受性が低下し、著しい鎮痛効果があることが判明した。その一方で、ペパーミント、ユーカリ、エタノールを混ぜると、人間の筋肉が弛緩して認識力が高まることが示された(Göbeletal.,1994)。
過敏性腸炎(IBS):バクテリアの異常増殖がなく、乳糖不耐症でも、セリアック病でもない過敏性腸炎(IBS)の患者に、8週間以上ペパーミント・オイルを与えたところ、プラシーボの場合よりも、IBSの症状が大幅に緩和されることが判明した
{Cappelloetal.,2007)。
過敏性腸炎(IBS):腸内で溶けるカプセルにペパーミント・オイルを入れて、過敏性腸炎(IBS)の子ども達に与えたところ、IBSの痛みが緩和された(Klineetal.,2001).
過敏性腸炎(IBS):腸内で溶けるカプセルにペパーミント・オイルを処方して入れ、IBS症状を示している患者に与えたところ、プラシーボを与えられた患者と比較して、大幅に症状が軽減された(Liuetal.,1997)。
過敏性腸炎(IBS):腸内で溶けるカプセルにペパーミント・オイルを入れて与えたところ、プラシーボの場合よりも、IBSの症状が大幅に緩和された(Reesetal.,1979).
記憶力:臨床試験で、ペパーミントの香りにより、記憶力が高まって、意識がはっきりすることが判明した(Mossetal.,2008)。
嘔吐:抗がん剤治療中の癌患者に、スペアミントオイルまたはペパーミントオイルを2滴含むカプセルを経口投与すると、コントロールと比較して吐き気の度合いが低下することが判明した(Tayarani-Najaranetal.,2013)。
抗バクテリア作用:被験者がチモール、メントール、サリチル酸メチル、ユーカリプトールが入っている口内洗浄液を6ヵ月間使用したところ、これらのオイルに耐性を持つ口内バクテリアが増加しないことが判明した(Charlesetal.,2000)。
抗バクテリア作用:ペパーミントとスペアミントのオイルは、耐性菌株の大腸菌(学名:Staphylococcus,E.Coli)、サルモネラ菌(学名:Salmonella)、ピロリ菌(学名:Helicobacterpylor)を抑制した(Imaietal.,2001)。
抗バクテリア作用:ペパーミントとローズマリーのオイルには、歯の生体膜(歯垢)防止において、クロルヘキシジン(消毒薬)よりも、高い効果があることが判明した(Rasoolietal.,2008)。
抗バクテリア作用:ボランティア被験者がペパーミント・オイルを混ぜた歯磨き粉を使用したところ、クロルヘキシジン(消毒薬)よりも低濃度で、歯垢形成の抑制効果が高いことが判明した(Shayeghetal.,2008)。
消炎作用:炎症を誘発させたラットに、ペパーミントとキャラウェイのブレンド・オイルを使用したところ、ラットの内臓の痛覚過敏(胃腸管の痛みに対する過敏症)が軽減されることが判明した(Adametal.,2006)。
消炎作用:L-メントールにより、人間の単球で炎症媒介物質の生成が抑制されることが判明した(単球とは、免疫反応に関与する種の白血球である)
(Juergensetal.,1998)。
抗痙攣作用:ペパーミント・オイルは、バリウム注腸時の痙攣防止において、コパン(抗痙攣薬)と同じくらい効果的だった(バリウム注腸は注腸の1種で、X線造影のためにバリウムを結腸に注入する)。(Asaoetal.,2003)。
抗ウイルス作用:ペパーミント・オイルは、ヘルペスのタイプ1型と2型のウイルスに対して、直接的な殺ウイルス作用を示した(Schuhmacheretal.,2003)。
消化促進):老齢の被験者がマッサージでローズマリー、レモン、ペパーミントのオイルを使用すると、マッサージでオイルを使用しない場合と比較して、便秘が減って排便がよくなった(Kimetal.,2005)。
消化不良:消化不良の患者をペパーミントとキャラウェイが入ったカプセルで治療したところ、痛みが軽減され、痛みの頻度が減ることが判明した
(Freiseetal.,1999).
消化不良:腸内で溶けるカプセルにペパーミントとキャラウェイのオイルを入れ、非潰瘍性の消化不良患者に飲ませたところ、対照グループと比較して、痛みと症状が軽減されることが判明した(Mayetal.,1996)。
神経(再生と補助):人間とラットの星状神経膠細胞にペパーミント・オイルで前処置すると、これらの細胞で、熱ショックで誘発されたアポトーシスが抑制されることが判明した(星状神経膠細胞は神経と脳で見られる細胞で、血液脳関門を助け、損傷した脳と脊髄の回復を助ける)。(Kooetal.,2001)。
てんかん:ペパーミントエッセンシャルオイルを事前に投与されたマウスは、てんかん発作を引き起こす致死量のペンチレンテトラゾール(PTZ)を注射された後に発作を起こさず、治療後生存率100%を示した(Koutroumanidouetal.,2013)。
Column
植物にとってのオイルの働き
エッセンシャルオイルは、植物が身を守るために自ら発生する、第二次代謝産物です。オイルがなぜ、アロマテラピーに用いられるのかを理解するために、オイルが植物にとってどのような働きをしているのか、見てみましょう。
1.鳥や昆虫を引き寄せて、繁殖に役立てる(誘引作用)
植物は、昆虫や鳥などに受粉を助けてもらい、種子を遠くへ運んでもらって種族の繁栄に役立てます。花や葉、果実に含まれているオイルの芳香物質は、こうした昆虫や鳥などを引き寄せる役割をしています。
2.害虫や接触する鳥を寄せ付けないようにする(忌避作用)
誘引効果とは逆に、オイルの芳香物質によって、害虫や鳥を遠ざけ食べられるのを防いでいるケースもあります。一部のオイルが虫よけに利用できるのは、この働きによるものです。
3.有害な菌やカビなどから身を守る抗真菌作用・抗菌作用)
オイルの芳香物質には、植物自体が有害な菌やカビに侵されたり、発生したりするのを防ぐ働きを持つものもあります。
4.生存競争の相手の成長を抑える
生存競争相手である、他の植物の生長や発芽を抑える働きを持つ成分を含んでいるオイルもあります。
5.太陽の熱から身を守る
オイルの芳香物質を蒸発させることで、植物自身を冷却させて暑さから身を守る働きもあるとされています。
6.ホルモンのような働き
オイルは植物のホルモンともいわれ、人間の体内で生理状態を調整するように、植物内でも働いているといわれています。
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