【パチョリ】-古くから治療薬として重宝された大切な香料-

シングルオイル

【パチョリ】の基本情報

  • 学名:Pogo.stemon cablin(Blanco)Benth.1848
  • 科名:シソ科
  • 産地:インド、マレーシア、ビルマ、パラグァイなどの亜熱帯地域
  • 抽出部位・方法:葉と花から水蒸気蒸留
  • 香りの特徴:甘く濃厚な香り
  • ノート:ベース
  • 香りの強さ:濃度4
  • ブレンドの分類:エンハンサー
  • 相性のよい精油:ベルガモット、クラリセージ、フランキンセンス、ゼラニウム、ジンジャー

芳香化学成分

  • セスキテルペン炭化水素類:α-ブルネッセン(18.4%)、α-ガイエン(9.0%)、セイチェレン(4.9%)、α-パチュレン(3.9%)、アシフィレン(2.5%)、β-カリオフィレン(2.1%)、β-パチュレン(1.8%)、アロマデンドロン(1.7%)、9-エピ-カリオフィレン異性体(1.1%)
  • セスキテルベンアルコール類:パチョリアルコール(41.9%)、ポゴストール2.6%)

医療に活用されていた植物

パチュリとも呼ばれるパリョリの語源はタミル語「パチャイ(緑)」と「エライ(葉)」に由来し、「緑の葉」と呼ばれています。仏教では白檀や沈香と同様に大切な香料として扱われ、毒蛇やハチに刺されたときの治療薬や解毒剤として、中国やアジアの国々、日本でも医療用として重宝されている植物です。

濃厚で深みのある香り

パチョリはよい環境下なら長期保存しても酸化しにくく、月日が経過すると熟成され、香りと質が向上します。ゆったりとコクのあるムスクに似た香りは、持続性が高く、緊張した心や不安定な気持ちを落ち着かせてくれます。香水や洗濯洗剤、芳香剤などにも多く使用されています。

【パチョリの有用性】

心:気の使い過ぎを和らげる

考え過ぎや気の使い過ぎ、緊張、不安を鎮めて感情のバランスを整えます。ストレスによる過食にも役立ちます。体力やセックスに影響を及ぼすことがあります。

鎮静、抗うつ、催淫

体:静脈に対して強壮作用が働く

パチョリの成分のひとつパチュレンは静脈やリンパに働きかけ、うっ血除去や冷え性、むくみのケアに役立ちます。

抗菌、抗感染、抗真菌、防腐、解毒、発汗、利尿、消化促進、健胃、うっ血除去、下痢、頭痛、アレルギー、消炎、血管やリンパのつまりを除去、強壮

肌:皮膚の再生を促進

細胞成長促進作用があり、皮膚の再生を促します。収れんや皮膚軟化作用もあり、肌を若々しく保つ働きにも期待できます。

組織再生、皮膚軟化、収れん、細胞活性、デオドラント

家:衣類を虫から防ぐ

高い殺虫効果と優れた防虫効果を持つパチョリは、同時に消臭作用もあるため、衣類ケアに役立つでしょう。

殺虫、防虫、消臭

注意:香りが濃く持続性があるので、使用量に注意してください。

【パチョリ】の使用方法

芳香浴:空気中に散布してもよいでしょう。

塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。膝下のツボか患部に直接塗ってください。

摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。

※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要がある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。

沐浴:バスタブに1、2滴オイルを垂らし、入浴をします。

美容:キャリアオイルで薄めて使うか、化粧水や乳液、クリームに1、2滴加えて使えます。

家事:洗濯時、洗剤と一緒にオイルを2、3滴入れます。香りの持続性も高く防臭作用にも優れます。

【パチョリ】おすすめの活用法

体の不快症状を緩和させるほか、スキンケアやヘアケア、ダイエットにも活用できます。また、消臭や防虫作用も優れているので、ディフューザーにパチョリを5、6滴入れて、拡散すると、ペットなどお部屋のイヤなにおい消しになります。

肌の老化:たるんだ肌を引き締める

キャリアオイル30mlに3、4滴入れ、顔のマッサージをします。ローズオイルと相性がよく、相乗効果で美肌づくりに役立ちます。

下痢:下痢や吐き気を止めお腹のトラブルに

オイルを2、3滴カプセルに入れて、内服してください。胃腸のあたりにオイルを塗布し、やさしくなでるのもいいでしょう。

衣類:ケアオイルで作る防虫剤と洗濯による消臭効果

重曹50gにオイルを15~30滴ほど垂らして、よく混ぜます。お茶を入れるパックなど不織布に入れて、クローゼットなどに置きましょう。虫を寄せつけないだけでなく、重曹が湿気も吸い取ってくれます。また、コットンにオイルを1滴垂らして、布に包んで衣装ケースに入れておくだけでも、虫やカビから衣類を守ってくれます。洗濯をすすぐときにオイルを数滴たらせば、消臭効果が期待できます。衣類についたにおいは、オイルを希釈したアロマスプレーを吹きかけるとよいでしょう。

対応する症状

ニキビ・吹き出物、虫さされ、じんま疹のかゆみ、紫外線防止、ジクジクする傷、体重減少、頭痛、発熱、むくみ、セルライト、口臭、下痢、痔、吐き気、ストレス、無気力、うつ、精神不安定、頻尿、食欲抑制、皮膚疾患(荒れた肌やたるんだ肌の引き締め)、シワ、足の疲れ、動物のにおい、肩こり、風邪、月経痛、不安、不眠、体臭、疲労、ダイエット

研究報告

殺虫作用:

エッセンシャルオイル34種類をテストしたところ、パチョリ(学名:Pogostemoncablin)のオイルが、よく見られるイエバエに対して、最も殺虫効果があった(Pavela et al.,2008)。

殺虫作用:

パチョリのオイルとその成分であるパチョリアルコール(パチュロール)を部分的に塗布したところ、双方とも、イエシロアリ(学名:Formosantermite)に対して、虫除け効果と殺虫効果があった(Zhu et al.,2003)。

殺虫作用:

クローブ、シトロネラ、パチョリのオイルに、3種類の蚊に対する虫除け効果が見られた(Trongtokit et al.,2005)。

妊娠/妊婦-乳房炎:

パチョリアルコール(三環式セスキテルペンおよび学名Pogostemomcablinのエッセンシャルオイル)は、炎症を抑制する効果があり、マウスモデルにおいて化学的に誘発された乳房炎を抑制することが判明した(Liet al.,2014).

紫外線:

パチョリは、動物モデルにおいて、皮膚組織を保護し、紫外線による肌の老化を防ぐことが判明した(Li et al.,2014)。

鎮静作用:

健康な大人がコショウ、エストラゴン、フェンネル、グレープフルーツなどのエッセンシャルオイルを吸い込むと、交感神経の働きが刺激され、ローズやパチョリのエッセンシャルオイルを吸い込むと、交感神経の働きが低下し
た(Hazeet et al.,2002)。

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