【バジル】の基本情報
- 学名:Ocimum basilcum L.1753
- 科名:シソ科産地:地中海沿岸、アメリカ、マダガスカル
- 抽出部位・方法:葉、茎、花の水蒸気蒸留
- 香りの特徴:甘さのあるスパイシーな香り
- ノート:トップ、ミドル
- 香りの強さ:濃度4
- ブレンドの分類:エンハンサーイクオライザー
- 相性のよい精油:ベルガモット、ゼラニウム、ラベンダー、レモングラス、ウィンターグリーン
芳香化学成分
- モノテルペン炭化水素類:α-ピネン(1.0%)、β-ピネン(1.8%)、ミルセン(1.8%)
- モノテルペンアルコール類:1,8-シネオール(15.7%)、リナロール(56.0%)、テルピネン-4-オール(0.6%)
- セスキテルペン炭化水素β-エレメン(1.7%)、ゲルマクレンD(1.6%)、アモルファン(1.4%)セスキテルペンアルコール類:ムロロール(1.1%)
- ケトン類:カンファー(0.5%)
- フェノール・エーテル類:メチルチャビコール(1.3%)、オイゲノール(2.2%)
- ラクトン・フロクマリン類:トランスーローベルガモテン(3.4%)
語源はギリシャ語の「王」
香りのよさから「ハーブの王」とも呼ばれているバジル。草丈は30~50cmの
一年草で、イタリア料理に欠かせないバジルの葉には、柔らかい毛が生えています。和名は「目箒(めぼうき)」といい、江戸時代には漢方薬として、バジルの種が目の汚れ取りに使われていたことからこの名がつきました。
世界中で活用される薬草
バジルは古くから世界各地で薬草として使われてきた歴史があります。
エジプト人はバジルで冠を編んでいましたが、これはバジルの香りに意識を覚醒させる作用があるからといわれています。
インドのアーユルヴェーダ医学や中国でも古代からさまざまな用途で活用されていました。
近年ではバジルに含まれるβカロテンには免疫力を高め、抗酸化作用があるといわれ、ガンやエイジング対策につながると考えられています。
【バジルの有用性】
心:不安や疲れを癒してくれる
バジルには抗うつ作用や強壮作用があります。モヤモヤした気分をスッキリさせて、気持ちを明るくさせてくれます。
抗うつ、刺激、強壮、高揚感
体:消化器系全体をサポート
消化器系の機能を促進させる作用があるバジルは、胃腸の不調に効果的です。そのほか、腸の疾患や下痢にも役立ちます。
抗バクテリア、抗ウイルス、抗感染、消炎、抗酸化抗痙攣、抗うっ血(静脈、肺静脈、前立腺)、利尿、殺菌、刺激(副腎皮質)、消化促進、抗真菌
肌:ニキビや虫刺されのケアに
殺菌消毒作用があるのでニキビのケアに。また、炎症を抑えてくれるので、虫刺され後のケアにもおすすめです。
抗菌、殺菌、抗炎症
家:ハエや蚊を寄せつけない
ハエや蚊は、バジルに含まれる「シネオール」という成分を嫌います。オイルを使って、天然素材の安全なスプレーを作ることができるでしょう。
虫除け
注意:妊娠中やてんかんがある方は使用しないでください。また、敏感肌の方は肌に炎症を起こすことがあります。必ずパッチテストをしてください。
バジルの使用方法
芳香浴:空気中に散布してもよいでしょう。
塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。こめかみ、鼻先、反射区やツボか患部に1、2滴塗ってください。
摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要が
ある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。
沐浴:バスタブに1滴オイルを垂らし、入浴します。
美容:キャリアオイルで薄めて使うか、化粧水や乳液、クリームに1、2滴加えて使えます。
家事:コットンに2、3滴垂らし置くと、防虫効果が期待できます。
バジルのおすすめの活用法
バジルの主成分リナロールは、張りつめた気持ちをほぐし、落ち着かせてくれます。リフレッシュしたいときや集中したいとき、ディフューズするといいでしょう。また、料理に使えば、少し甘みのあるハーブの香りは、消化機能を刺激し、食欲をアップさせます。
鼻づまり・鼻炎:鼻の不調には室内拡散が有用
鼻づまりは1、2滴をコップの水に入れてうがいをするか、カプセルに入れて飲みます。鼻炎は鼻筋に1滴塗ります。
虫さされ:消炎作用が虫さされを鎮静する
ハチの刺し傷や虫さされには、1日に数回1滴ずつ塗ります。コットンに1滴垂らして器に入れ、室内や屋外に置くと虫除けになります。
集中力を高める:仕事や勉強前のリフレッシュに
集中できないときはディフューザーなどを使い、芳香浴をしてみましょう。ティッシュペーパーやハンカチ、布などに、オイルを1滴垂らし、香りをかぐと、頭がすっきりします。仕事や勉強の作業効率を高めます。
ハーブとして:料理や飲み物にアクセントを
スパイス代わりにオイルをスパゲッティに1滴垂らしてください。少し甘みのあるハーブの香りが広がります。消化器系の機能を促す作用で食欲も湧くはず。また、1リットルの水に1滴垂らし、ハーブウォーターを作ってください。冷やすとすっきりさが増します。アイスティーに1滴、垂らすのもおすすめです。
対応する症状
気管支炎、悪寒、慢性的な風邪、集中力、神経衰弱、消化不良、耳痛、失神、疲労(精神的なもの)、頭痛、しゃっくり、虫さされ・かゆみ(鎮静)、虫除け、腸の疾患、健忘症、筋肉の痙攣、鼻炎(鼻粘膜の炎症)、鼻づまり、嗅覚喪失、吐き気、虫さされ(ハチの刺し傷)、百日咳、下痢、風邪、傷、胸やけ、乗り物酔い、二日酔い、食欲不振、せき、筋肉痛、腰痛、疲労
研究報告
気管支炎:
慢性気管支炎の患者で、ローズマリー、バジル、ファー(モミ)、ユーカリのオイルに、抗酸化効果が判明した(Siurinetal.,1997)。
抗バクテリア作用:
複数の薬剤に耐性があるいくつかのバクテリアをバジル・オイルが強力に抑制することが判明した(Opalchenovaetal.,2003)。
抗真菌作用:
バジルオイル(ケモタイプ・リナロール)はアスペルギルス・フラバスの増殖を阻害する作用を発揮した(El-Soudetal.,2015)。
抗酸化作用:
バジルとその成分リナロールが、バクテリア細胞の自然発生的な変異誘発を減少させることが判明した(Bericetal.,2008)。
虫除け:
バジル・オイル2種(学名Ocimumbasilicumと学名O.gratissimum)を双方とも、その芳香を付けたパウダーの形で空中散布したところ、ヨツモンマメゾウムシ(農産物の害虫)とその卵に対して、この2種のバジル・オイルに殺虫効果があることが判明した(Keitaetal.,2001)。
記憶:
マウスの記憶保持および回復を評価する研究において、バジルオイルの水溶性アルコール抽出物が、有意に記憶保持および回復を増加させることを明らかにした。記憶増強効果は、バジル抽出物中のフラボノイド、タンニンおよびテルペノイドの抗酸化作用に起因している(Sarahroodietal.,2012)。
乳ガン:
バジル抽出物はMCF-7乳がん細胞の増殖を抑制し、抗酸化作用があり、そしてDNA損傷から保護することが判明した(Al-Alietal.,2013)。
循環器系一心臓:
バジルの水溶性アルコール抽出物を、短期間ラットへ経口投与すると、化学的に誘発された心臓発作から心臓の筋肉組織を保護することが判明した(Pathiazadetal.,2012)。
糖尿病:
臨床試験の結果から、バジルの抽出物は糖尿病患者の空腹時および食後血糖を低下させることを示している。これはバジルが2型糖尿病の軽度から中等度の症例における食事療法として使用できることを示唆している(Agrawaletal.,1996)。
脳梗塞:
バジル抽出物の経口前投与を行うと、マウスの両側頸動脈閉塞に誘発される脳損傷に対して、組織死の大きさと脂質の酸化的分解を減少させ、抗酸化作用および運動機能を回復させることによって保護することが判明した。研究者らは、これらの結果はバジルが臨床として脳梗塞の予防に有用であり得ることを示唆していると述べている(Boraetal.,2011)。
ヨーロッパの食文化で親しまれてきた、スパイシーな香りが特徴のバジル。ドレッシングやソースにとり入れて、料理のレパートリーを増やしましょう。
・ハーブ風味のフレンチドレッシング
マスタード…大さじ1、赤ワインビネガー…大さじ2、オリーブオイル・・・大さじ3、
塩・こしょう・・・各少々、バジル1滴、レモン1滴
・鮭や白身魚のムニエルの下味つけ
オリーブオイル・・・大さじ3、酒・・・大さじ5、塩・こしょう・・・各少々、レモン1滴、ローズマリー1滴、タイム1滴、バジル1滴、オレガノ1滴(魚を漬け込み、1晩おいてから焼く)
・冷たいトマトソース、ケッカソースに
トマト…8個、にんにくのみじん切り・・・1かけ分、エキストラバージンオリーブオイル・・・大さじ4、塩・こしょう・・・各少々、バジル1滴・ピザやパスタに使うジェノベーゼにんにく・・・2かけ、松の実・・・50g、アンチョビ・・・5切れ、オリーブオイル…1と1/4カップ、粉唐辛子・・・少々、ブラックペッパー1滴、バジル1滴(ミキサーにかけてピュレー状にする)
・ハープ風味のオイルソース
オリーブオイル・・・1/2カップ、無塩バター・・・大さじ2、塩・こしょう…各適量、バジル1滴
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