【ディル】の基本情報
- 学名:Anethum graveolens L. 1753
- 科名:セリ科
- 産地:ヨーロッパ、アメリカ
- 抽出部位・方法:植物全体から水蒸気蒸留
- 香りの特徴:ハープ&柑橘系のフレッシュな香り
- ノート:ミドル
- 香りの強さ:濃度2
- ブレンドの分類:エンハンサー
- 相性のよい精油:オレンジ、マンダリン、ベルガモット、プチグレン、サイプレスゼラニウム、ローズマリーレモン
芳香化学成分
- モノテルペン類:d-リモネン(25%)、α&β-ピネン(<30%)、α-&β-フェランドレン(微量)、p-シメン(微量)
- ケトン類:d-カルボン(<45.0%)
- エーテル類:(<11%)
古い歴史を持つハーブ
古代ノルウェー語の「なだめる(Dilla)」に語源を持インド原産の1年草ディル。紀元前4000年代に草として栽培されはじめ、古代エジプトでは医師たちがディルを活用していました。優れた鎮静、鎮痛作用が「なだめる」の由来を示しています。高さは40~60cmほどで、葉は羽根のような形をしていて、黄色い花をパラソル状に咲かせます。
興奮を鎮める草原の香り
ディルの精油は植物全体から抽出したものと、種のみから抽出したディルシード、葉から抽出したディルウィードがあります。イライラや興奮など神経の高ぶりを鎮める働きがあります。また、消化を促す働きがあり、消化不良や便秘の緩和、デトックス作用も注目されている精油です。
【ディルの有用性】
心:イライラや興奮を鎮める
高い鎮静作用があるディルは、草原を思わせるハーブの香りで自律神経の乱れを整え、高ぶった気持ちを落ち着かせてくれます。
鎮静
体:コレステロール値を整える
消化を促す働きが知られていますが、血糖値やコレステロール値を下げたり、インスリン値を整える働きも注目されています。
鎮痙、鎮痛、抗菌、去たん、刺激、利尿、搾乳、血糖値低下、コレステロール低下、インスリン値の正常化、デトックス、催淫、殺菌、抗ウイルス、消化促進、抗炎症、抗真菌
肌:肌の弾力をアップ!
肌にツヤや弾力を与える女性ホルモン、エストロゲンの分泌を促す働きがあります。エラスチンの合成を促す作用も。
ホルモン調整
その他:虫除け(ゴキブリが嫌う香り)
MEMO①身近なハーブとして活躍
薬草として古くから活躍してきたディル。料理やハーブティーなどで体内に取り
入れられる欧米では生活に身近な存在です。
注意:てんかん症状がある方は医師にご相談のうえご使用ください。
【ディル】の使用方法
芳香浴:空気中に散布してもよいでしょう。直接ビンから吸入してもよいでしょう。
塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。足裏の反射区やツボと患部に1、2滴塗ってください。敏感肌の方はキャリアオイルで薄めてください。
摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要がある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。
沐浴:バスタブに1、2滴オイルを垂らし、入浴します。
美容:キャリアオイルで薄めて使うか、化粧水や乳液、クリームに1、2滴加えて使えます。
家事:コットンに2、3滴垂らし置くと、ゴキブリへの防虫効果が期待できます。
【ディル】のおすすめの活用法
母乳の出を良くするハーブとして有名です。利尿作用があるので、むくみの解消をサポートしてくれるでしょう。自律神経を鎮める作用があり、夜泣き、むずがる赤ちゃんなど子どものケアに使われてきました。
気管支炎、便秘、胃弱:鎮静・鎮痛作用で症状を鎮めてくれる
小さじ1杯のはちみつに1滴加えて飲みます。少量の白湯に溶かして飲んでもいいでしょう。
腰痛、生理痛:痛みの症状を和らげ、楽にする
カプセルに1滴入れて飲む。または、キャリアオイル15mlに1、2滴入れて混ぜ、患部マッサージに。
甘い物への欲求を抑える:甘い物を食べたい欲求を抑えたいときに
片方の手首の内側に1、2滴垂らし、もう一方の手首をあて、軽くこすりなじませます。
落ち着きのない子どもに:自律神経を整えて気持ちを落ち着かせる
ローマンカモミールと合わせると効果的。室内に拡散させるか、入浴時に2、3滴バスタブに入れましょう。
対応する症状
消化不良、便秘、激しい腹痛、胃弱、頭痛、肝臓機能の低下、緊張、ストレス、母乳の分泌不足、月経痛、メタボ、腰痛
MEMO②ディルサーモンは魚の定番料理
魚との相性がよく、「魚のハーブ」とも呼ばれるディル。サーモンとともに焼くサーモンの香草焼きは別名「ディルサーモン」といわれているほど。肉料理のくさみ消しや風味づけにも活躍します。
【ディル】の研究報告
コレステロール:
ディル(Anethumgraveolens)抽出物の幾つかの成分は、高脂肪食を与えたラットの高コレステロール血症を改善した。高コレステロール血症はアテローム性動脈硬化症の発症の危険因子であることが判明している(Bahramikiaetal.,2009)。
毒素の除去:
ディルとキャラウェイオイルに由来する3つの化合物アネトフラン、カルボン、およびリモネンは、いくつかのマウス組織において酵素のグルタチオンS-トランスフェラーゼ(組織内で毒素を変換または結合に関与する)を誘導することが判明した(Zhengetal.,1992)。
防虫作用:
ディルは、オスとメスの成虫ドイツゴキブリに対する効果的な防虫作用が検証された(Leeetal.,2017)。
胃潰瘍:
ディル・シード抽出物の経口投与は、マウスにおける塩酸およびエタノール誘発胃病変に対して効果的な抗分泌および抗潰瘍作用を有することが判明した(Hosseinzadehetal.,2002)。
抗炎症作用:
炎症を起こしたラットの足へ局所的に脂溶性ディル抽出物を適用した際、抗炎症薬ジクロフェナクよりも高い抗炎症作用を発揮した(Naserietal.,2012)。
皮膚:
成人皮膚由来のヒト線維芽細胞を用いた試験管内研究で、ディル抽出物がLOXL遺伝子発現を刺激して成人皮膚細胞に弾性形成を誘導可能であることを示した。これらの実験結果はディル抽出物が肌の弾力性と引き締めを高める可能性があることを示唆している(Cenizoetal.,2006)。
抗真菌作用:
ディルエッセンシャルオイルは、メタカスパーゼ依存的にカンジダ・アルビカンスにおいてアポトーシス(細胞死)を誘発することが実証された(Chenetal.,2014)。
記憶:
シサムペロス・パレイラとディルの複合抽出物は、記憶障害誘発ラットの空間記憶ににおいて認識の向上および神経保護効果をもたらすことが判明した(Thukham-Meeetal.,2012)。
糖尿病:
ディル・シード抽出物は、糖尿病性肥満マウスにおいて肝PPAR-α活性化を介して、高脂肪食誘発性高脂血症を抑制した(Takahashietal.,2013)
【Column】学びを促すオイル
ディルは、論理的に働く左脳と直感の効く右脳が、円滑に働くように促し、頭に入ってくる情報を、自分に必要な形にして取り入れることをサポートしてくれるオイルです。
「学ぶことに関心が持てない」「勉強したいという気持ちはあるけど、気分がのらない」「計画通りに進められない」「クラスの学習ペースについていけない」といった悩みを持つ人に役立ちます。また、次々と思い浮ぶアイデアや多すぎる外からの情報や刺激に混乱している人にもおすすめです。情報を分解、分析して、必要なものを見極められるようにサポートします。気持ちや思考の整理が進み、学習や研究の意欲が湧いてくるかもしれません。
ディルは学ぶことに従事し、人生で起こるさまざまな出来事を喜んで受け入れられるように手助けしてくれます。自分とは異なる考えやアイデアもすんなりと受け入れることができ、やる気が出て、新しい物事を発見し、気づきを得ることに興奮を感じるように導いてくれるはずです。
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