【ティーツリー(メラルーカ)】の基本情報
- 学名:Melaleuraalternifolia(Maiden&Batche)Cheel1924
- 科名:フトモモ科
- 産地:オーストラリア
- 抽出部位・方法:葉から水蒸気蒸留
- 香りの特徴:大地の恵みを受けたハーブの香り
- ノート:ミドル香りの強さ:濃度3
- ブレンドの分類:エンハンサー、イクオライザー
- 相性のよい精油:あらゆる柑橘系オイル、サイプレス、ユーカリプタス、ラベンダー、ローズマリー、タイム
芳香化学成分
- モノテルペン酸化水素:アーテルビネン(19.6%)、ローテルビネン(8.6%)、テルビノレン(3.1%)、パラシメン(27%)、α-ピネン(2.2%)
- モノテルペンアルコール類:テルピネン4-オール(47.0%)、α-テルピネオール(3.5%)
- オキサイド類:1,8シネオール(2.3%)
- セスキテルペン酸化水素類:ビリジフレン(1.1%)、アロマデンドレン(1.1%)、α-フムレン(0.1%)
- セスキテルペンアルコール類:ビリジフロロール(0.1%)
クック船長がお茶に活用!?
針のように先の尖った葉がたくさん茂る樹木です。葉の色は表と裏で全く異なり、表は黒く裏は白っぽく見えます。ティーツリーの学名「Melaleuca(メラルーカ)」はMela(黒)とleucos(白)から来ています。お茶の木の仲間ではありませんが、クック船長が香りが豊かなこの木の葉をお茶として活用したことから「TeaTree/ティーツリー」と呼ばれるようになったのです。
前向きな気持ちになる香り
オーストラリアの原住民アボリジニが、古くからこの木の優れた作用を見出し、感染症や傷の治療に使っていたといわれるエッセンシャルオイルです。高い殺菌消毒作用のほか、免疫促進作用があり、風邪ウイルスの感染力を弱めて、症状の悪化を抑えるといわれています。
強力な殺菌力があるのに、肌にやさしいというところが非常に魅力なオイルです。もちろん安全性も高いオイルなので、子どもがいるご家庭でのハウスクリーニングでも活躍してくれるでしょう。ダニが嫌う成分が含まれているので防ダニ対策にもなります。
【ティーツリー(メラルーカ)の有用性】
心:ショックから立ち直らせる
清潔感のあるフレッシュな香りは、沈んだ心に元気を与えます。モヤモヤして気分を変えたいときにも役立ちます。
鎮静、刺激、神経強壮
体:優れた抗菌作用で感染症を抑える
優れた殺菌力と抗ウイルス作用で、風邪やインフルエンザを抑え、症状が悪化するのを阻止する働きも期待できます。
鎮痛、抗バクテリア、抗菌、抗真菌、抗ウイルス、抗感染症、消炎、抗酸化、抗寄生虫、防腐、消化促進、去たん、免疫賦活、組織再生、抗感染、強烈な防腐、血管やリンパの詰まり除去
肌:パワフルな殺菌力
殺菌、抗炎症作用に優れ、ニキビや吹き出物はもちろん、イボや水虫、傷などあらゆる皮膚の症状に対応します。
抗炎症、殺菌、抗菌、抗真菌
その他:殺虫駆虫
注意:繰り返し使用すると極度のアレルギー反応が起きることがあります(接触感作)。
【ティーツリー(メラルーカ)】の使用方法
芳香浴:空気中に散布してもよいでしょう。
塗布:体の一部分に塗布する場合は、薄めずに使用できます。足裏の反射区やツボと患部に1、2滴塗ってください。
摂取:飲み物や食べ物に入れることができます。水120ml、またはハチミツ15mlにオイル1滴を目安に希釈。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。
※6歳未満の子どもには摂取させないでください。6歳以上の子どもに摂取させる必要がある場合は、さらに薄めて慎重に使いましょう。
沐浴:バスタブに1、2滴オイルを垂らし、入浴します。
美容:キャリアオイルで薄めて使うか、化粧水や乳液、クリームに1、2滴加えて使えます。
家事:水を入れたスプレー式容器にオイルを数滴加えよく混ぜ、散布します。消臭、防ダニ対策になるでしょう。
【ティーツリー(メラルーカ)】のおすすめの活用法
ティーツリーには90種を超える成分が含まれ、作用も様々であらゆる働きに期待ができます。家庭に常備しておきたいオイルです。洗顔剤に1滴垂らして顔を洗うとニキビや吹き出物の緩和が期待できます。熱いお湯を張った洗面器にエッセンシャルオイルを数滴入れて、フェイシャルスチームをしてもよいでしょう。
せき呼吸器の不調を整え症状を和らげる
室内に拡散するか、1、2滴をコップの水に入れてうがいをします。または、カプセルに入れて飲みます。
水虫真菌性トラブルには殺菌力に優れた精油を
1日に2、3回、足の指の間と爪の周りに2、3滴塗ります。水虫やカンジダなど真菌性の症状を緩和。
やけど痛みを抑えて炎症を鎮めてくれる
毎日、患部に2、3滴塗ります。やけどのほか、単純ヘルペスや蜂、ノミなどの虫刺さされにも活用できます。
フケ、かゆみ気持ちのいいスプレーで頭皮がスッキリ
スプレー式容器に精製水30ml、オイル5,6滴を入れてよく振ってください。洗髪前頭皮に吹きかけて、マッサージしましょう。
部屋干し、カビ対策作用で洗濯物をさわやかに
抗真菌作用のあるティーツリーは、お風呂場や洗濯機のカビ対策にも役立ちます。オイルを加えた水で洗濯すれば、その消臭作用で生乾きや部屋干しのにおい対策にもなるでしょう。
対応する症状
ニキビ・吹き出物、炎症性の腫れ(おでき)、やけど、カンジダ菌、単純ヘルペス、真菌感染、ヒステリー、感染症、炎症、ダニ、マダニ、ショック、ウイルス感染、イボ、傷(治癒促進)、風邪、気管支炎、花粉症、鼻づまり、免疫力低下、膀胱炎、膣炎、のどの痛み、せき、水虫、切り傷、フケ、日焼け、ヘアケア
MOMO①多く医療機関でも活躍しているティーツリー
オーストラリアの先住民のアボリジニは昔から、ティーツリーを医療に使用し、医学薬学的な研究を進めてきました。第二次世界大戦中には、熱帯地にある軍隊や軍需工場の工員たちにも使われていたそうです。
医療機関によっては、インフルエンザやヘルペス、膀胱炎、カンジダ症などの感染症や口腔粘膜のサポートに、ティーツリーを塗布、洗浄、湿布などの方法で用いるところもあります。
オーストラリアのエッセンシャルオイルの生産組合では、主要成分のモノテルペンを30%以上含むこと、テルビネン4オールは15%以下という数値をエッセンシャルオイルの品質基準に定めています。オーストラリアや欧米では、ティーツリーを配合したさまざまなケア製品が売られているといわれています。
研究報告
ニキビ:
ニキビの治療において、5%のティーツリーのジェルは、5%の過酸化ベンゾイルのローションと同じ効果と、過酸化ベンゾイルのローションよりも少ない副作用があった過酸化ベンゾイルは、ニキビの治療によく使われる化学物質です
(Bassettetal.,1990)。
ニキビ:
尋常性ざ瘡(ニキビ)の患者に、5%のティーツリーオイルのジェルを部分的に塗ると、プラシーボの場合よりも、尋常性ざ瘡の傷が残るのを防ぎ、その度合いの軽減に効果があった(Enshaichetal.,2007)。
ニキビ:
ティーツリー・オイルとその主要成分は、ニキビ生成に関与するバクテリアであるプロピオン酸菌(学名:Propionibacterium)のニキビに対して有効であった。このオイルは、2種類のブドウ球菌に対しても有効であった(Ramanetal.,1995)。
炎症性の腫れ(おでき):
臨床試験において、ティーツリーオイルを炎症性の腫れ(おでき)に部分的に塗るという治療を受けた人のほとんどが、症状の完治か軽減を経験した。その一方で、治療を受けなかった人々(対照グループ)では、半数の人に手術が必要で、しかも全員が感染症状を示した(Feinblattetal.,1960)。
インフルエンザ:
生体外研究で、ティーツリーは、インフルエンザウイルスの正常なウイルス膜融合を妨害し、そして宿主細胞へのインフルエンザウイルスの侵入を阻害し得ることが判明した(Lietal.,2013)。
抗バクテリア作用:
生体膜内(溶菌斑/微小コロニー)のMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)が、5%のティーツリー・オイル溶液で根絶され、9個のCONS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)うち5個が消えた
(Bradyetal.,2006)。
抗バクテリア作用:
黄色ブドウ球菌の66個の分離菌(64個のメチシリン耐性菌(MRSA)を含む)および33個のムピロシン耐性菌株が、ティーツリーのエッセンシャル・オイルで抑制された(Carsonetal.,1995)。
抗バクテリア作用:
ティーツリー・オイルが、カンジダ・アルビカンス菌(Candidaalbicans)、グラム陰性大腸菌(Gram-negativeE.coli)、グラム陽性黄色ブドウ球菌(Gram-positiveStaphylococcusaureus)の細胞膜を壊して呼吸を抑制することが判明した(Coxetal.,2000)。
抗バクテリア作用:
ゼラニウムとティーツリーは、黄色ブドウ球菌に対して、強力な抗バクテリア効果を示した(Edwards-Jonesetal.,2002)。
抗バクテリア作用:
ティーツリオイルとその成分であるテルピネン-4-オールが、黄色ブドウ球菌(学名:Staphylococcusaureus)に対して、しかも抗生物質耐性菌株に対してさえ、いくつかの抗生物質よりも、優れた抗バクテリア効果を見せた
(Ferrinietal.,2006)。
抗バクテリア作用:
ティーツリーは、皮膚の常在フローラ(微生物叢)を殺した時よりも低い濃度の濃縮液で、皮膚の一過性フローラを殺した(Hammeretal.,1996).
抗バクテリア作用:
黄色ブドウ球菌(学名:Staphylococcusaureus)と腸球菌(学名:Enterococcusfaecalis)のグラム陽性菌株では、ティーツリーオイルに対する耐性が、非常に低い頻度で見られた(Hammeretal.,2008)。
抗バクテリア作用:
ティーツリーオイルは、1%未満の濃度で、生体膜内と成長静止期の双方で、黄色ブドウ球菌(学名:Staphylococcusaureus)に対する殺菌力を示した
(Kwiecińskietal.,2009)。
抗真菌作用:
ティーツリー・オイルは、末期ガン患者の口から分離された301種の各種イースト菌を抑制した。この抑制されたイースト菌の中には、抗真菌薬に耐性を持つことで知られている41菌株も入っている(Baggetal.,2006)。
抗真菌作用:
ティーツリー・オイルにより、11種のカンジダ菌が大いに抑制された
(Banes-Marshalletal.,2001)。
抗真菌作用:
爪真菌症(学名:onychomycosis)に対して、濃度100%のティーツリーオイルを部分的に塗ると、1%のクロトリマゾール溶液(抗真菌薬)を部分的に塗ったのとほぼ同じ効果があった(爪真菌症は真菌による爪の感染症で、白癬という名称でも知られている。)(Bucketal.,1994)。
抗真菌作用:
ティーツリーオイルが、カンジダ・アルビカンス菌の細胞膜の性質と機能を変え、細胞を抑制するか死に至らせることが判明した(Hammeretal.,2004).
抗真菌作用:
ティーツリーオイルの成分であるテルピネン-4オールとティーツリー・オイルは、ラットで、アゾール耐性種など、膣内感染を起こす数種類のカンジダ菌種に対して、効果があった(Mondelloetal.,2006)。
抗真菌作用:
水虫(足部白癬:学名:tineapedis)の患者に25%か50%のティーツリー・オイル溶液を部分的に塗って治療すると、対照グループよりも、高い治癒率と臨床反応が見られた(Satchelletal.,2002)。
抗真菌作用:
収穫後にオレンジを保護するためのコーティングとして、キトサンとティーツリーのエッセンシャルオイルを含む混合物を適用した場合、真菌の増殖を50%減らすことが判明した(Chaferetal.,2012)。
消炎作用:
ティーツリーオイルは、化学的なハプテンに対する感受性を誘発させた(感作)マウスの皮膚が、接触過敏症の反応中に、皮膚の膨張を減少させた
(Brandetal.,2002)。
消炎作用:
ティーツリー(学名:Melaleucaalternifolia)オイルは、好中球(白血球の1種)における活性酸素種(ROS)生成を削減し、これによってティーツリー・オイルに抗酸化作用があることが示唆された。また、インターロイキン2消炎反応を引き起こす化学伝達物質)の分泌を減少させる一方で、インターロイキン4(消炎反応を停止させる化学伝達物質)の分泌を増やした(Caldefie-Chézetetal.,2006).
消炎作用:
腹膜に炎症を誘発させたオスのラットに、ティーツリーオイルを吸い込ませると、消炎効果が見られた(Golabetal.,2007)。
消炎作用:
ティーツリーオイルの成分である水溶性テルピネン-4-オールが、人間の単球(白血球の1種で人間の免疫系の一部)で、炎症を促進する媒介物質の生成を抑制することが判明した(Hartetal.,2000)。
消炎作用:
ボランティア被験者で、ヒスタミンで誘発したミミズ腫れ(ウィール・フレア反応)にティーツリー・オイルを塗ると、対照グループよりも、ミミズ腫れの大きさ(中間値)が小さくなった(Kohetal.,2002)。
抗ウイルス作用:
ティーツリーとユーカリのオイルによる単純ヘルペスウイルスの抑制が見られた(Schnitzleretal.,2001)。
ダニ:
目の炎症に苦しむ患者に、毎日6週間ティーツリーオイルのスクラブとシャンプーの治療を受けさせたところ、瞼にいるニキビダニの外寄生が減少した。目の炎症も劇的に減少した(Kheirkhahetal.,2007)。
ダニ:
ティーツリーオイルは、ダニ箱の検定で、シラミとイエダニの双方に対して効果があった(Williamsonetal.,2007)。
マダニ:マダニ(学名:Ixodesricinus)の若虫(ライム病の保菌虫)に10マイク口のティーツリーのエッセンシャルオイルを90分以上吸い込ませると、その80%以上に対して致死効果があることが判明した(Iorietal.,2005)。
口腔:
固定式の歯科矯正器具を装着した34人の患者において、5%のティトリーエッセンシャルオイルを含む歯科用ジェルを用いた場合、患者の唾液中の微生物バイオフィルムとミュータンス菌の量を比較すると、コルゲートトータルジェルよりも良好な結果が得られた(Santamariaetal.,2014)。
寄生虫:
ティーツリーオイルは、生体外でアニサキス幼虫を殺すのに有効ということがわかった。この結果はアニサキスに対する作用においてアセチルコリンエステラーゼ阻害が寄与するということを示唆している(Gomez-Rinconetal.,2014)。
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