旧約聖書に登場するスパイス
熱帯地方に育つ常緑樹で、樹高10mにもなります。樹皮と葉をスパイスや香料、薬用に使います。エジプトではミイラの防腐剤に使用されています。旧約聖書の『出エジプト記』にも記述がある、世界最古のスパイスの1つです。大航海時代には、「スパイスの王様」と呼ばれるほど高価で貴重な品でした。
体を温め心身の疲れを癒す
シナモンバークには体を温め、循環や消化を助ける働きが期待できます。また甘く濃厚でスパイシーな香りで、心が穏やかになるでしょう。殺菌消毒作用も強いため、フランスでは熱帯地方を旅行するとき、感染症や下痢予防のため樹皮の精油を1滴服用することがあるそうです。細菌が繁殖しやすい時期に室内に散布すれば、衛生的に保てるでしょう。またデザートやホットドリンクに加えるスパイスとしてもよく知られています。りんごや牛乳と煮込んで風味づけを楽しみましょう。
【有用性】
心:疲れた心をリフレッシュ
緊張をほぐし、気分を落ち着かせます。元気が湧いてきて、物事にとり組む力を与えます。
刺激、抗うつ、鎮静
体:循環器系&消化器系に
内科的疾患に汎用性があります。体の循環が向上し、エネルギーが湧いてくるでしょう。免疫力も高まります。
健胃、強壮、強心、温体、抗バクテリア、抗真菌、抗ウイルス、抗感染、抗酸化、免疫刺激、駆虫、消炎、抗微生物、抗寄生虫、防腐、抗痙攣(軽度)、浄化、性的刺激、体を温める作用、殺菌、消化促進、抗炎症
肌:優れた収れん作用を発揮
収れん作用や日焼け肌のケアに役立ちます。シミやシワ、たるみに働きかけます。刺激が強いので、必ず希釈すること
抗菌、抗真菌、収れん、止血※キャリアオイル10mlに、オイル2滴をブレンド
その他
防カビ、防腐
注意
妊娠中は使用しないでください。お肌に極度の炎症を起こすことがあります。ディフューザーから直接吸い込むと鼻炎を起こすことがあります。粘膜の炎症を引き起こすことがあるので、濃度にご注意ください。繰り返し使用すると極度のアレルギー反応が起きることがあります(接触感作)。
使用方法
芳香浴:空気に散布してもよいでしょう。
散布時は慎重に行ってください。ディフューザーから香りを直接吸い込むと、鼻膜に炎症を引き起こすことがあります。シナモンバークには、特に注意してください。ディフューザー蒸気口近くに鼻を持っていくと、外鼻腔が焼けることがあります。
塗布:体の一部分に使用するには、オイルとキャリアオイルを1:3で薄めます。足裏の反射区やツボと患部、気になる部分に塗ります
摂取:空のカプセルに1、2滴入れて飲むか、飲み物や食べ物に入れることができます。水240ml、またはハチミツ30mlにオイル1滴を目安に希釈。食品や飲み物の香りづけとして使用する際は、ようじの先が濡れる程度の少量を加えてください。
※米国食品医薬局(FDA)によって、摂取することが安全だと認められています。6歳未満の子ともには摂取させず、6歳以上の子どもに摂取させる必要がある場合は、さらに薄めてください。
家事:水で薄めて掃除に使用すると除菌ができます。
おすすめの活用法
シナモンバークは抗菌・殺菌作用に優れ、強壮作用もあるため、幅広く活用できます。パンやスイーツ、料理の香料にも使用できます。
下痢冷えが原因の胃腸の不調に
1、2滴を空のカプセルに入れて飲みます。または、お湯に1滴入れて飲むと、体が温まって不調を緩和します。
口内ケア毎日のケアで口内スッキリ
約60mlの水にオイルを1滴加えて、うがいをします。歯磨き後にすると、より口の中がさっぱりするでしょう。
冷え甘い香りが心身を温めます
マグカップのお湯に1滴入れて飲むといいでしょう。寒い日や冷房で体を冷やしたときに。寝る前の摂取も効果的です。
部屋の除菌に定期的な使用で抗菌空間に
スプレーボトルに水を入れて、2、3滴オイルを落とします。掃除に使ったり、室内に香りを散布すると除菌効果が期待できます。
対応する症状
風邪、インフルエンザ、消化不良、吐き気、糖尿病、感染症、空気汚染、シミ、シワ、たるみ、リウマチ、疲労、ストレス、無気力、イボ、血液の循環不順、便秘、下痢、冷え性、関節炎、傷、胸やけ、せき、筋肉痛、口臭、ダイエット
MEMO①他のオイルの作用を高めます
シナモンバークをブレンドすることによって、他のエッセンシャルオイルの作用や有用性を高めます。
研究報告
糖尿病:
グリクラジド(処方された抗糖尿病薬)を服用している2型糖尿病の中国人患者において、3ヶ月間のシナモン樹皮抽出物を追加することで血糖コントロールを有意に改善することが判明した(Lu,T.etal.,2012)。
糖尿病:
シンナムアルデヒド(シナモンオイルの主成分)はラットのアロキサン誘発糖尿病性腎症に対して保護作用を発揮した(Mishraetal.,2010)。
糖尿病・膵臓サポート:
糖尿病マウスモデルにおいて、シナモンポリフェノールは膵臓機能を回復させ、血糖降下作用および脂質低下作用を発揮することが判明した(Li,R.etal.,2013)。
糖尿病:
シンナムアルデヒド(シナモンオイルに含まれる成分)は、糖尿病ウィスターラット(ラットの系統の一つ)の血糖値を有意に下げることが判明した(Subashetal.,2007).
糖尿病:
シナモンのオイルの経口投与は、糖尿病KK-Ayマウスの血糖値を大幅に低下させることが判明した(Pingetal.,2010)。
抗バクテリア作用:
シナモン、タイム、クローブのエッセンシャルオイルが、気道の病原体のいくつかに対して、抗バクテリア効果を示した(Fabioetal.,2007)。
抗バクテリア作用:
シナモン・オイルは、2種類の有害な口腔細菌に対して、強烈な抗微生物作用を発揮している(Filocheetal.,2005)。
抗バクテリア作用:
14種類のエッセンシャルオイルをテストしたところ、よく見られる呼吸系の病原体に対して、シナモン・バーク(シナモンの皮)、レモングラス、タイムのオイルが最も強い効果を示した(Inoueetal.,2001)。
抗バクテリア作用:
月桂樹、シナモン、クローブのオイルが、黄色ブドウ球菌のアルファ毒素と腸毒素Aの生成を減少させた(Smith-Palmeretal.,2004)。
抗真菌作用:
9種類のオイルをテストしたところ、毒素を生成する2種類の真菌に対して、まずクローブ、続いてシナモン、オレガノ、メイスのオイルに、抑制作用が見られた(Juglaletal.,2002〉。
抗真菌作用:
シナモン、タイム、オレガノ、クミンのオイルが、アスペルギルス属真菌によるアフラトクシン生成を抑制した(TantaouiElarakietal.,1994)。
抗真菌作用:
シナモン・バークのオイルとシナモン・アルデヒドの蒸気は、気道で真菌症(真菌感染)を引き起こす真菌に対して効果があった(Singhetal.,1995)。
抗炎症作用:
シナモン樹皮エッセンシャルオイルは、ヒト皮膚線維芽細胞モデルにおいて抗炎症作用を示すことが判明した(Hanetal.,2017)。
関節炎シナモン樹皮のポリフェノールの一部は、炎症および関節リウマチの動物実験において炎症と痛みを改善することが判明した(Rathietal.,2013)。
アルツハイマー病:
ショウジョウバエおよびアルツハイマー病のマウスモデルにおいて、水溶性シナモン抽出物がベータアミロイドオリゴマーおよび線維形成を抑制し、アルツハイマー病の症状を緩和することが判明した(Frydman-Marometal.,2011).
創傷:
ラットにシナモンオイルベースのマイクロエマルジョンを部分塗布すると、切開創の敗血症を防ぎ、創傷治癒能力の増加を示した(Ghoshetal.,2013)。
高血圧:
シナモン樹皮メタノール抽出物は、誘発高血圧ラットに対して急性降圧効果を示した(Nyadjeuetal.,2013)。
男性不妊症:
シナモン樹皮エッセンシャルオイルは、四塩化炭素(一般的な有害物質)によって誘導された雄ラットの生殖器官の損傷、また細胞における損傷に対して、保護効果を有することが判明した(Yüceetal.,2014)。
パーキンソン病:
α-シヌクレインのタンパク質の凝集は、パーキンソン病の主要な要因である。α-シヌクレインの凝集を防ぐことは、パーキンソン病の治療に役立つかもしれない。研究者らは、水性シナモン抽出の沈殿物が、パーキンソン病のショウジョウバエモデルにおけるα-シヌクレイン凝集に対する治療効果を有することを発見した。さらに試験管内検査で、シナモン抽出物がα-シヌクレインのフィブリル化の過程に対して抑制効果を有することが明らかにされた(Shaltiel-Karyoetal.,2012)。
MEMO②性的な調和を促すオイル
シナモンバークは生殖器系をサポートする働きがあります。愛する人から拒否されたらどうしようという不安を払い、持って生まれた自分を受け入れ、魅力を引き出せるようになるでしょう。また相手を独占したり支配したりする不安定な気持ちを解放させ、相手の自由を尊重できるように働きかけます。自分をよく見せようと無理に偽ることなく、ありのままの自分を表現でき、相手との親密な関係づくりに役立ちます。
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